毒親育ちだけど子どもが欲しいと思わない。こんな風に考えてしまう自分ってやっぱり変?同じ毒親育ちの人がどう考えているのか知りたいです。
この記事ではこんな疑問を解決します。
しん | 心理カウンセラー
心理カウンセラー。過去のカウンセリング実績500件以上。自身の毒親育ちの経験を活かし、毒親の克服方法やアダルトチルドレンの改善などを中心に、「読者の悩みの根本的な解決」を目指し発信しています。
こんにちは、心理カウンセラーのしん(@psynote__)です。
先日、こんなツイートをしました。
毒親に育ちで「子どもはいらない」と考える人は少なくありません。
この考えが友人やパートナーに理解されず、つらい思いをしてきた方も多いのではないかと思います。
この記事ではそんな方に向けて、毒親育ちの人がなぜ「子どもはいらない」と考えるのか。
また、子どもを持つことへの不安を捨てるためにはどうすればいいのか。
こうした内容について、分かりやすく解説していきます。
毒親育ちが「子どもはいらない」と思う理由3つ
毒親育ちが「子どもはいらない」と考える理由として、以下の3つが考えられます。
- 理由①:単純に子どもが好きではない
- 理由②:自分の時間を奪われたくない
- 理由③:自分が毒親にならないか不安
理由①の「単純に子どもが好きではない」については、毒親との関連付けが難しい場合もあるので、この記事では特に詳しく掘り下げることはしません。
なので、この記事では
- 理由②:自分の時間を奪われたくない
- 理由③:自分が毒親にならないか不安
この2つについて、詳しく解説していきます。
子どもに自分の時間を奪われたくない
まずは理由の1つ目。
「子どもができることで、自由な時間がなくなることに耐えられない」
という考え方ですね。
これには毒親特有の「家庭環境」が影響していると思います。
「子どもがいらない」と思うあなたも、こうした家庭環境で育ったのはないでしょうか?
親に自分の考えや意見を否定されやりたいことがあってもすべて我慢。とても辛い毎日だったと思います。
毒親に育てられた人と、普通の家庭で育った人とでは「自由」に対する考え方や執着が大きく違います。
進学や就職を機に家を出て一度「自由」を手に入れてしまうと、自分を束縛するものに対して漠然とした不安を抱くようになります。
これは子どもの話に限らず、恋愛関係や人間関係でも同じです。
理由もなく恋人を遠ざけたくなってしまうあなたは「回避依存症」かもしれません。
回避依存症とは?回避依存症の特徴や原因、考え方【経験者が解説!】毒親からの脱却と自由
毒親の元をはなれたことによって
「自分の人生はこれまでなにも始まっていなかった」
と気がついた方は多いのではないでしょうか。私もそうでした。
- 親の干渉を受けない環境
自分で自分の人生をコントロールできている充実感 - 自由であることの素晴らしさ
自分には一生縁がないと思っていた「自由」を手に入れたことで
「自分がコントロールされる状況を二度と作りたくない」
という考えが生まれ、子どもを持つことや結婚に対し否定的になります。
ですが、親はあなたの気持ちを汲み取れるはずがなく
「一生ひとりで生きていくつもりなの?」
「年齢的にもそろそろ子どもを考えないと」
「子どもがいないと老後が寂しいわよ」
などと、もっともらしい理由と子どもがいないことに対する「罪悪感」を与えることで、あなたを再びコントロールしようとします。
しかし、親から小言を言われれば言われるほど、親に対する嫌悪感や過去のトラウマは強まります。
その結果、ますます今の自由を捨てることが恐ろしく感じるようになります。
毒親育ちが「結婚したくない」と思う理由について考えた子供が「いらない」のではなく、毒親になる「不安」がある
そして2つ目の理由です。
「自分も毒親になるのではないか?」
という不安から、子どもはいらないと考えるようになるパターンです。
この場合、決して子どもが嫌いなわけではないので、子どもを「持つか持たないか」の葛藤で長く苦しむことになります。
実際のところ、毒親育ちの人が子どもを作り
「子供には絶対に自分と同じ目に合わせない」
「幸せに生きられるように精一杯の愛情を与えたい」
と思うあまり、子どもに対し過干渉になり、いつのまにか「毒親」になっていたというケースは珍しくありません。
毒親の連鎖は「親に満たして貰えなかった」という気持ちを、子どもを使って取り戻そうとすることで起こります。
また、毒親育ちの人は一般的な「幸せな家庭」がどういうものかが想像できません。
経験してないことを想像するのは難しいため、どうしても自分の人生の経験をベースに考えてしまい
「子育ては、自分にも子どもにも苦しくて辛い思いをさせる大変なもの」
という答えにたどり着きます。
親に否定された育った子どもは、完璧主義や黒白思考といった極端な思考を持ちがちです。
そのため、自分の性格と子育てを考えた時に
- 「自分は子どもを育てることができる人間なのか?」
- 「自信がないのに子どもを持つのは無責任じゃないのか?」
- 「不幸の再生産は自分で止めるべきじゃないのか?」
このように考えてしまうのです。
人から「気にし過ぎだよ」と言われても、こうした考えが頭から離れず子どもを持つことに不安を感じます。
もちろんこの世に完璧な親は存在しません。普通の家では親も子どもも両方が失敗を重ねながら、共に成長していくものです。
あなたと毒親は全く違う、ということ
「自分も毒親になってしまうかもしれない」と思うあなたと、あなたの親は全く違います。
一番の違いはあなたが
「自分の親が毒親であることに気がついている」
ということです。
さきほど少しお話しましたが、親への希望や理想が残ったままの状態で子どもを作ると、毒親は連鎖します。
少し認めるのはツラいかもしれませんが、あなたには優しく接してくれていた祖父祖母も、かつては毒親だったかもしれません。
ですが、今ここで重要なのは祖父や祖母や毒親だったのかを議論することではありません。
事実だけを見つめると
「あなたの親は自分の弱さや問題から逃げた状態であなたを育てた。そして毒親を連鎖させた。」
ということです。
そして、あなたが今子どもを持つことに悩んでしまうのは「自分は親とは違う人間になりたい」と考えているからこそです。
つまり、毒親を「反面教師」にできているということですね。
確かに、あなたが毒親になってしまう可能性も全くないとはいい切れません。
ただし、これまで代々受け継がれてきた「毒親の負の連鎖」を、あなたが断ち切る可能性があるのもまた一つの事実です。
あなたが子どもを持つことに不安を感じるのは
あなたが自分の問題から逃げず、真正面から向き合っている証
でもあるのです。
まずはあなたの心が満たされるのが最優先
あなたは毒親に育てられたことで、これまで本当に沢山のことを我慢して傷ついてきたでしょう。
あなたは今、以下のような苦しみを抱えていませんか?
こうした状態で苦しんでいるのであれば、子どもよりもまず先に、あなた自身の心が癒やされることを優先して挙げて下さい。
当然、子どもにまつわる年齢の問題や、周りからのプレッシャーはあるかもしれません。
ですが、自分に余裕が持てない状態では、いくら「毒親をやめよう」と頭では考えていても、子どもに同じことをしてしまう可能性があります。
特に「完璧主義」の傾向がある方は要注意です。
自分の小さなミスを許せなかったり、子どもが自分の思う通りに動いてくれないことが大きなストレスになり、負の感情が抑えられなくなってしまうかもしれません。
先ほどお話した通り
親も子どもも完璧ではない
ということを、親と子ども両方が理解し、お互いに認められる関係を作ることです。親子の間に上下関係はありません。
親の理想を子どもに押し付けてしまうと、あなたと同じ苦しい思いを子どもに与えることになってしまいます。
メンタルが安定した人をパートナーに選ぶ
子どもを持つか悩むことよりも、まずあなたの過去の苦しみが癒やされることが最優先だとお話しました。
こうした状態になるにはどうすればいいのか、というお話ですが、もっとも簡単なのは
メンタルが安定した人をパートナーに選ぶ
という方法です。
安定したメンタルを持っているパートナーの近くにいると
「失敗しても治せばいい」
「無理して相手に合わせる必要はない」
「嫌なことはいや、など自己主張してもいい」
これまで毒親に植えつけられていた間違った考え方が、パートナーのおかげで少しづつ良い方向に変化していきます。
とはいえ、メンタルが安定したパートナーを持つだけでは、毒親を完璧に克服することはまず不可能です。
毒親を克服して自分の人生を自分らしく生きる方法については、以下の記事で詳しく解説しています。
【おすすめ】毒親の克服、親への不安や恐怖を手放す方法【心理カウンセラーが解説】逆にこんなパートナーには要注意!
逆にあなたのパートナーに以下のような特徴がある場合は注意が必要です。
こうした特徴を持っている人の多くは、やはり毒親育ちである可能性が高いです。
親に満たしてもらえなかった怒りや悲しみを、恋人を使って発散しようとしてしまうため、安定した関係が築けません。
また、あなたが
「いつの間にか恋人に依存してしまう」
「いつも同じような人と付き合ってしまう…」
「恋愛にいい思い出がない」
と思うのであれば、あなたは「恋愛依存症」の沼にハマってしまっている可能性があります。
気になる方はぜひ下の記事を読んでみて下さい。
毒親育ちだとしても、子どもを幸せにできる
毒親育ちだとしても、結婚し子どもを作り幸せに暮らしている方は大勢います。
私の家も毒親家庭でしたが、私の兄弟は結婚をして子どもを持ち幸せな家庭を築いています。
あなたが子どもを持つことに不安を抱えていたとしても
この2つがあれば、あなたは毒親にはならないのではないかと考えています。
もちろん、時には子どもに対し間違った子育てをしてしまうこともあるでしょう。
しかし、何度も繰り返すとおり「完璧な親」は存在しません。
失敗を受け入れ、そのつど改善していけばいいだけなのですから。
「子どもがいない人生」でも否定される筋合いはない
ここまで、毒親育ちの人に子どもを持つことを進めるような記事になってしまいましたが、決してそうではありません。
重要なのは
まずはこれらを考えてみることです。
子どもがいるいないではなく、あなたが幸せだと感じられるように時間を使っていくことがなによりも大切です。
自分が自分の人生に納得できているなら、結婚していなくても、子どもはいなくても、十分に幸せな人生は送れます。
中には
「子どもを持たない人生なんて考えられない」
「歳を取ったらひとりが寂しくなるよ」
「考え直した方が良いんじゃない?」
などと、あなたに余計なお節介やマウントを取る人が現れるかもしれませんが、そういった人の意見は全て無視して構いません。
あなたの人生をどう生きるかはあなたが決めていいのです。
この記事のまとめ
- 子どもがいらない毒親育ちには「自由への欲求」と「不安」がある
- 毒親を自覚しているあなただからこそ、毒親の連鎖を断ち切れる可能性がある
- 子どもは一つの選択でしかない。あなたにとっての幸せが最優先
毒親育ちの人の中には「自己犠牲」が当たり前になってしまっている人がいます。
親のため、配偶者のため、世間体のため。
ですが、本来一番大切にすべきなのは「あなた自身」であることを常に忘れないでくださいね。
今回は以上になります。
とてもしっくりきました。このような記事を書いてくださって、ありがとうございます。しっかりと届いています。
幼少期、本当に辛かったです。今、35歳。結婚して子供なし。正にそういう理由です。今は親と距離をとってますが、数年前に電話した時は心配の一言もないのか!と金切り声を上げて怒鳴られました。いまだにそんな親は今後も変わりませんが、私は変われると思っています。しかし、私は子供のような純粋な気持ちを持つまま大人になり、外では頑張り、家では赤ちゃん返りのような状態になっていて、それでバランスをとっているため、親になったときにそのバランスはどう崩れるのかが怖くて親になれないという理由が子供を作れない一番の理由かなと。そんな人、いますかね。。。
めちゃくちゃわかります。
来年32になりますが、
結婚して6年経っても未だに子供欲しいと思えません。
過去の幼少期のトラウマがひどいから…
毒親対策で検索していたら、ここに行き着きました。
30代半ばで実家の異様さに気が付き始め、現在カウンセリング中です。
子供時代から今までの悔しい、悲しい、怒りが頭を離れません。
「思考が抑制されていて、自分の考えをうまく言語化できない」まさにその通りです。
子供を望まないのは、自分も同じようにしてしまうのと親から感謝の強要の嵐にうんざりしている点があると思います。
私は毒親育ちで、結婚したものの結局子供を持たないまま50台へ。そういう者としてちょっと思うことがありましたので、ご投稿をば、と。
上記では、
・単純に子どもがキライ
・自分の時間を大切にしたい
・自分が毒親になってしまわないか不安
のみっつが挙げられておりますが、
イチ毒親育ちである自分の胸中と比較してみた際、第3の「自分が毒親になってしまわないか不安」に似ているけれど、やはりこれとは別かな、と思うことがありました。
それは、
第一に、自分にとって、「家庭環境」というものの大前提が「楽しくて幸せな場所」ではなく、「苦痛と不快の場所」なものですから、「子供がいる」「家庭がある」ということを想像した瞬間、反射的にその大前提が想起され、「明るく楽しい未来像」をイメージできません。したがって、どうしても積極的な動機が生まれないというのがあります。
(もちろん、それを打開したいという気持ちもあります。そしてそれが以下につながるのですが)
第二に、そんなネガテゥブな大前提を打開し幸福な家庭を築くためには、まず自分が親として充実した人生を築き、自信を醸成し、それを子供へ伝えられるだけの人物(お手本)でなければならない、という逼迫感が共存しているということもあります。いいかえれば、「子供に見せる背中がない」というもの。
この原因をさぐるに、自分が子供の頃、親や親戚に対して、尊敬できるどころか「どこに出しても恥ずかしい」と常に負い目を感じ続けていたのと、また、親による強制的な操作によって自分の人生が捻じ曲げられたことに起因し、後天的な自信の構築も叶わない、という事態を引きずってしまっている、というのがあります。
まとめると、
[1] 家庭は不幸の場所、という大前提を拭い去ることが難しい。
[2] 自分のなかに自信が育っておらず、かつ自分が親を見下していたので、「子供に見せる背中がない」という思いが強い。言い換えれば「子供から見下されるのが怖い」 という恐怖心を拭い去れない。
というふたつの心理的原因を、自分のなかには発見いたしました。ご参考になれば幸いです。