こんにちは、心理カウンセラーのしん(@psynote__)です。
「友達と呼べる人が一人もいない」
「友達はいるけど、素の自分は誰にも見せられない」
これまでの相談の中でも、毒親育ちの方からこの2つの声はとても多く聞いてきました。
「毒親育ちは友達がいない」の中身は一人ひとり違う
「毒親育ちは友達がいない」とよく言われます。ただ、実際は人によります。
- 友達が本当に一人もいない
- 1人か2人だけど、素を出せる相手がいる
- 交友関係は広いけれど、誰のことも「友達」だとは思えていない
形はそれぞれです。けれど共通しているのは、友人関係のどこかに苦しさや違和感を抱えていることです。
私自身も小学生のころ、「勉強をしないといけないのでもう遊べなくなりました」という電話をクラス中の友達に自分でかけさせられた経験があります。友達付き合い自体を親に奪われた時期がありました。
友達がいないことを「性格のせい」「コミュニケーション力の問題」で片づける声もあります。けれど、話はそんなに単純ではありません。
「友達の作り方」を教わっていない
友達がいないことに悩む毒親育ちの方に
「もっと自分を出してみたら?」
「趣味のサークルに入ってみたら?」
とアドバイスする人がいます。
悪意はなくても、このアドバイスは毒親育ちにはほとんど通用しません。
人との距離の詰め方、断り方、喧嘩のあとの仲直り。友達関係の土台になるこうした感覚は子ども時代に友達との遊びの中で身についていきます。それと同時に、親が他人とどう関わるかを見て学ぶ部分も大きい。
子どもは、親の友人関係を”お手本”として吸収します。
あなたの親は、友達と楽しそうに過ごしていましたか。困ったときに誰かを頼っていましたか。
毒親のもとで見せてもらえるのは「支配する関係」か「我慢する関係」のどちらかです。対等な人間関係のモデルがないまま大人になっている。
「自分を出す」以前に「出していい自分」がわからないというのが実情です。
親の前で素を出すたびに否定されてきた人にとって、人前で自分をさらけ出すことは危険行為に等しい。自己肯定感が低いままだと、素の自分を見せること自体がリスクに感じます。
毒親育ちの方が自己肯定感が低くなる背景と、自分を責める癖の正体については、こちらの記事で詳しくお伝えしています。
友人関係で「親との関係」が再現されるわけ
友達関係の土台を教わっていないとどうなるか。多くの場合、知っている唯一の関係。
つまり、親との関係の型を友人にも当てはめてしまいます。
なぜ友人関係でも我慢してしまうのか
友達の言動に傷ついても「気にする自分がおかしいのかも」と飲み込んでしまう。予定を一方的に決められても「相手のほうが正しいのかも」と従ってしまう。
「あなたが悪い」と言われ続けた経験が、友人関係でも自分を守る感覚を鈍らせています。
こうした状態だと、「フレネミー(友を装う敵)」のターゲットにもされやすくなります。マウントやおせっかいを「友情」だと思い込んでしまう。支配される側に立つことに慣れてしまっているからです。
昔を振り返ると「なんであんな相性の悪い人と無理に付き合ってたんだろう」と思うことはないでしょうか。あのとき「おかしい」と思えなかったのは、我慢が当たり前だと刷り込まれていたからです。
なぜ自分まで「親と同じこと」をしてしまうのか
あまり触れられることがありませんが、逆のケースもあります。
自分が毒親の行動を無意識に再現してしまい、友達を支配する側に回ってしまう人です。
もし以下に心当たりがあっても、それはあなたが悪い人間だからではありません。親との関係しか知らないからその型を使ってしまっているだけです。
- 相手の行動に口を出す
- 思い通りにならないと不機嫌になる
- 「あなたのためだから」という言葉で相手をコントロールする
このケースで最も苦しいのは自分がやっていることに気づいたときです。
「自分も親と同じだ」という自己嫌悪が襲ってくる。
けれど、気づけているということは親とは決定的に違います。親は気づかなかった。あなたは気づいた。その差は小さくありません。
「わかっているのに止められない」という苦しさ
友人関係のどこかで我慢していることに気づいた。あるいは、自分が相手を支配していたことに気づいた。
気づけたことは大きい。けれど、知っていても止められないという二重の苦しさがここから始まります。
「全部消してしまいたい」という衝動
毒親育ちの方に多い「人間関係のリセット癖」も、この延長線上にあります。
突然連絡先を全部消す。SNSを削除する。周りの人を全員ブロックして一人になる。
過去の私もよくやっていました。理由がはっきりしないまま、漠然とした不安に駆られてリセットしてしまう。
リセットは心を守ろうとする無意識の反応です。悪いことでも弱いことでもありません。ただ、繰り返すたびに人間関係は狭くなり孤独感は深まっていきます。
変化はどこから始まるか
「気づいたのにまたやってしまった」と自分を責める必要はありません。変化はいきなり行動が変わることではないからです。
「前は無意識にやっていたことを、やる前に一瞬立ち止まれる」。
その一瞬が生まれること自体が変化です。たとえば、こんなことが起きるかもしれません。
- リセットしたくなったとき「本当にしたいのか」と自分に聞けるようになる
- 友達に合わせすぎていることに、あとからではなく「その場で」気づけるようになる
- 我慢していることに気づいたとき「次はやめよう」と小さく決められるようになる
気づける回数が増えること。衝動と自分の間に隙間ができること。 地味ですが確かな変化です。
友人関係で苦しむことを「甘え」だと片づける声もあります。けれどここまで読んできた方にはわかると思います。「毒親のせいにするのは甘え」が間違っている理由をこちらの記事で解説しています。
安全な人に出会ったときに起きること
友人関係に苦しんできた毒親育ちの方にとって、素の自分を否定しない人が現れることは大きな転機になります。
ただ、最初に感じるのは安心ではありません。
- 「こんなに楽でいいはずがない」
- 「いつか本性を見せたら離れていくんじゃないか」
- 「優しいのは裏があるからでは」
否定されることに慣れすぎると、否定されない関係のほうが怖く感じます。安全な場所にいるのに安全だと信じられない。 この矛盾に最初は戸惑います。
けれど、その怖さの中に留まり続けることができたとき、関係は少しずつ変わり始めます。
素の自分を否定せず受け止めてくれる人が一人いるかいないかで、生きづらさは大きく変わります。
その一人は友達でも、恋人でも、カウンセラーでも構いません。
友人関係の「型」を自分の状況に合わせて整理するには
この記事で触れた「親との関係で作られた型」に気づけたことが、友人関係を変えていく入り口です。ただその型を具体的にどう変えていくかには、もう少し踏み込んだ段階があります。
「この人といると苦しいのは、自分のせいなのか、関係のせいなのか知りたい」
友人関係で繰り返されてきた苦しさを、あなたの状況に合わせて整理するための個別メールカウンセリングを行っています。

