なぜ毒親は子どもに謝れないのでしょうか?謝ってもらえれば少しは気持ちが楽になるのに…。親に昔のことを謝らせる方法はありますか?
この記事ではこんな疑問を解決します。
この記事はこれまで私がカウンセラーとして得た知見、加えて自身の毒親育ちの経験を元に深く解説していきます。
こんにちは、心理カウンセラーのしん(@psynote__)です。
先日、こんなツイートをしました。
毒親はなぜ子どもに謝れないのか?と悩む方は少なくありません。
今回は毒親が子どもに謝れない理由や、そんな親にどう向き合うべきかについて解説します。
ぜひ最後まで読んでみてくださいね。
なぜ毒親は子どもに「謝る」とことができないのか?
まず結論からお話します。
毒親が子どもに謝れない根本的な原因は
子供に対する尊敬がなく、子供を一人の人間として扱えていない
ことにあると考えています。
とはいえ、この説明だけだと漠然としすぎているので、具体例を交えなが解説していきますね。
子どもに謝れない毒親の特徴3つ
「子供に対する尊敬がなく、子供を一人の人間として扱えていない」を解説するために、ここで子どもに謝れない毒親の特徴をいくつか解説したいと思います。
ここでは以下の3つを取り上げます。
- 毒親自身が劣等感を感じている、失敗を認められない
- 子どもの「自立」が許せない
- 上下関係を作り子どもを自分に依存させる
それでは順番に解説していきますね。
毒親自身が劣等感を感じている、失敗を認められない
毒親が子供に謝れない理由の一つに
・毒親自身が劣等感を抱えている
・自尊心が低い
ということが挙げられます。
子どもから「欠陥人間」だと思われることに耐えられないため、子どもを攻撃することで自分の弱さから目をそむけようとしますが、子どもをいくら攻撃した所で親の自尊心が回復するわけではありません。
こうした親の場合、子どもに謝るという行為は「自分より格下の人間に謝る」のと同じなため、自分の自尊心を更に傷つけることになります。
普通の親であれば、自分が間違っている時は素直に子どもに謝ることができます。完璧な人間がいないことを親も子どもも分かっているからです。
大前提として、毒親は同じく毒親に育てられているケースが圧倒的に多いです。
つまり「あなたの祖父祖母の育て方に問題があった可能性がある」ということですね。
ですが、親が毒親に育てられていようとも、親が抱えている「劣等感」や「自尊心」の問題は親自身の問題です。
こうした親は手軽にコントロールできる子どもを利用することで、自分の自尊心や劣等感を回復しようとしています。
つまり、本来は自分自身で克服しなければならない問題を子どもに責任転嫁することで、問題から逃げているということですね。
子どもの「自立」が許せない【コントロールと罪悪感の植え付け】
カウンセリングでも圧倒的に多い相談内容の一つが、親からのコントロールによる悩み。
つまり毒親による過干渉です。
過干渉の問題が厄介なのは、毒親自身が「自分の行動は子どものためになっている」と本気で思い込んでいることにあります。
そのため、親の意見を否定しようものなら
「あなたのためを思って言っているのに」
「文句を言われるなんてお母さん傷ついた…」
と被害者のフリをしたり子どもに罪悪感を与えることで、子どもへのコントロールを強めていきます。
あなたも人生のいろいろな場面で、毒親のアドバイス(という名の強制)に振り回されて生きてきたのではないかと思います。
そして、こうした親の多くは「子どもの自立」が許せません。
子どもの自立が、自分に対する「裏切り」のように感じてしまうのです。
これは、子どもの人生と親の人生の境界線があいまいで「子供の人生が親の人生の延長線上」になっているからですね。
自分の過去の経験が子どもにも当てはまると考えているので
「自分のアドバイスが絶対的に正しい」
「間違っているはずがない」
などと、子どもの意思を無視して自分の意思を押し付けてきます。
こうした親に対し大人になった後、過去の怒りを親にぶつけた方もいるでしょう。
「昔のことを謝ってほしい」
「子どもの頃につらい思いをしていた」
「今も生きづらさを抱えている」
ですが、どれだけあなたが必死に過去の行動を責めたとしても、親は聞く耳を持たなかったはずです。
なぜなら、親はそもそも子供に「悪いことをした」と考えていないからです。
「自分の行動は子どものためになっていた」という絶対的な先入観があるため、なにを謝れば良いのかを理解できないのです。
親に植え付けられた「罪悪感」は大人になっても消えず、あなたを苦しめ続けます。
上下関係を作り子どもを自分に依存させる
本来であれば、親と子どもの間に上下関係は存在しません。
ですが、毒親の中には「金銭」や「衣食住」を利用することで、親と子どもの間に上下関係を作る親がいます。
こうした親の行動は、子どもが未成年の時によく見られます。
親の理屈としては
理屈①:子供には「住む場所」や「お金」を与えているのだから、親は子供のいうことを聞くべきだし、親に感謝する必要がある。
理屈②:親に不満があってもそれは子供が我慢すること。親が子供に譲ったり謝る必要はなにもない。
こうした理屈について、子供の生活や教育にお金がかかるのは確かに事実です。
ですが、これらの理屈は「親による子どもへの責任転嫁」に他なりません。
「お金」や「衣食住」が子供に必要なことは子どもが生まれる前から分かりきっていたことで、それを理由に家庭内で「上下関係」を作っていい理由にはなりません。
「養っているのだから子どもは親のいうことを聞くべき」という考えは全くの的外れな意見で、単にこれは親が果たすべき義務から逃げている状態です。
毒親と子ども、両方が抱えている共通の問題
ここまで「子どもに謝れない毒親の特徴」について解説しました。
ここからはその特徴を踏まえた上で、家庭内における「毒親と子ども、両方が抱えている共通の問題」についてお話します。
それは以下の2つです。
- 「素の自分」「自分の弱さ」を家族にさらけ出すことができない
- 「間違えてはいけない」という思い込みにとらわれる
順に解説します。
「素の自分」「自分の弱さ」を家族にさらけ出すことができない
あなたは、親に自分の弱さを見せることに抵抗感があるのではないでしょうか?
そして親もまた、あなたに対し弱さを見せまいと毅然と振る舞っているのではないかと思います。
毒親育ちが親に自分の弱さを見せられないのは、自分の弱さを見せることで
「人格否定(なにをやらせてもだめ)」
「突き放す(我慢や根性が足りていない)」
「バカにする(他の人は出来ているのに)」
「あざ笑う(あなたには無理)」
親からこうした否定の言葉が返ってくることが分かりきっているからではないでしょうか?
私自身「親の前でいかに自分という存在を殺すか」ということばかり考えていました。
一般的な家庭ではごくありふれた光景であるはずの
- 親が子供の弱い部分を受け入れる
- 子供のために問題解決のための選択肢を与える
- どんなに突飛な内容でも一度は否定せずに耳を傾ける
こうした行動を、毒親は取ることができません。
「人に弱さを見せてはいけない」と考え育った子どもは大人になった後も人に頼ることが出来ません。
その結果、仕事や恋愛などさまざまな面で失敗を重ねやすくなります。
そして、ここで重要なのは、親もまた子どもに対し自分の弱さを見せることが出来ていないということです。
自分の弱さを認めらないがゆえに、子どもの弱さもまとめて否定してしまうのです。
「間違えてはいけない」という思い込みにとらわれる
普通の家庭では、親子間に「親も子も時には間違えて当たりまえ」という共通認識があります。
親も子も
「間違える→謝る→許す」
の流れが自然に見についている状態です。
しかし毒親の場合は「間違えてはいけない」という思い込みが強く、それを子どもにも強制します。
ですが、間違いのない家庭など存在しません。
親と子という立場を利用した結果、間違えた時の親と子の反応はそれぞれ以下のようなものになります。
「間違える(毒親)→子どもに対し逆ギレ」
「間違える(子供)→人格否定」
「間違えてはいけない」「失敗してはいけない」という思い込みにとらわれているため、自分が失敗した時は子どもに責任を押し付けることで、親としての威厳を保とうとします。
逆に子どもが失敗した時は「ほれ見たことか!」と言わんばかりに、子どもを責め立てます。
その結果、子どもには以下のような影響が見られます。
- いつ親が怒り出すか不安でビクビクしてしまう
- 親を怒らせないように顔色をうかがう
- 自分らしさ、子供らしい行動が取れなくなる
こうした心の平穏が保たれない環境で育つと、大人になって「生きづらさ」を強く感じるようになります。
毒親育ちに精神が不安定な方が多いのは「気が休まる時間」がずっとなかったことも大きいでしょう。
謝らない親に対する怒りをどう処理するか?
あなたは謝らない親に対して怒りを感じているのではないでしょうか?
これまで傷つき苦しんできたあなたが親を憎み、謝って欲しいと考えるのは当然のことです。
ですが、親に対し怒りを感じるということは、あなたがまだ「毒親と精神的に分離できていない」ということの証明でもあります。
では毒親と精神的に離れるにはどうすれば良いのでしょうか?
こちらについては別記事で詳しく解説しているので、ここでは簡単にまとめさせてもらいます。
毒親に見切りをつけ「怒り」を変化させていく
毒親に育てられた私自身、親が謝ってくれさえすれば「普通の家族」になれると本気で信じていた時があります。
しかし、親に期待するたびに裏切られ、そのつど落胆したり、精神が不安定になったりと、いつまでも親との関係が改善されることはありませんでした。
親へ期待してしまうせいで、いつまでも前に進めない状態でした。
結論として、私たち毒親育ちに出来ることは、親に見切りをつけて諦めることです。
「愛されたかった」
「普通の家族になりたかった」
「苦しい思いを分かって欲しかった」
これらを諦めるのは簡単なことではありませんが、親の変化に期待をしていると、いつまでも同じことが繰り返されてしまいます。
親を諦めたで、自分の心に残っている「怒り」の感情を消化することで、あなたの心の苦しみは癒えていきます。
更に詳しく毒親の克服について知りたい方は以下の記事を参考にして下さい。
【おすすめ】毒親の克服、親への不安や恐怖を手放す方法【心理カウンセラーが解説】周囲の人に責められたとしても関係ない
あなたにこのようなお節介を焼く人がいるでしょう。
「愛情が無ければ子供にお金を使えない」
「君も親になってみれば親の気持ちが分かる」
「嫌なら家から出ていけば良い」
こうした意見を聞いたあなたは「自分が間違っているのかな…」と罪悪感を抱いてしまうかもしれません。
ですが、そうした自罰的な考え方もすべて親に植え付けられたものです。
他の人がどう思うかは関係ありません。
大切なのは、他人ではなくあなたがどう思うかです。
もしあなたに対してこのようなことを言ってくる人がいてもスルーして構いません。
あなたはなにも悪くないのですから、自分の苦しみを隠そうとしなくて良いのです。
【関連記事】毒親は理解されない、カミングアウトには注意が必要この記事のまとめ
- 子供に謝れないのは子供に対する「尊敬」が無いから。
- 毒親は常に子どもに自分の責任を押し付ける。
- 親に謝ってもらうことを諦めることが大切。
悲しい結論になってしまいますが、毒親は死ぬまで毒親です。
「どうにかして謝らせたい」という気持ちは私も痛いほど分かります。ですがその気持ちにとらわれている限り、あなたはいつまでも毒親から離れることができません。
自分のためにも、毒親に対する怒りを手放すことを考えてみて下さいね。
【おすすめ】毒親の克服、親への不安や恐怖を手放す方法【心理カウンセラーが解説】