親が毒親で、長女である自分だけがターゲットにされていたように感じます…。当時の親の心理や現在の対処方法について知りたいです。
この記事ではこんな疑問を解決します。
しん | 心理カウンセラー
心理カウンセラー。過去のカウンセリング実績500件以上。自身の毒親育ちの経験を活かし、毒親の克服方法やアダルトチルドレンの改善などを中心に、「読者の悩みの根本的な解決」を目指し発信しています。
こんにちは、心理カウンセラーのしん(@psynote__)です。
先日、こんなツイートをしました。
「自分に対する扱いが、妹や弟と比べていつも雑だと感じていました」
これはカウンセリングで出会った、ある女性の言葉です。
このページにたどり着いたあなたも、過去に同じことを考えたことがあるかもしれませんね。
この記事はそんなあなたに向けて、長女と毒親についてさまざまな点から解説した記事です。
ぜひ最後まで目を通してみてくださいね。
「長女」だけが毒親のターゲットにされる理由
「妹や弟は親に可愛がられていたのに、自分にだけは厳しかった。なぜ?」
という方に向けて、長女が毒親(特に毒母)のターゲットにされやすい理由からお話します。
一般的にいわれている長女の性格というと
こうした性格をイメージされる方が多いのではないでしょうか?
ですが、長女だからといってみなが最初からこの性格ではありません。
兄弟が生まれた後、長女は毒親から「子ども」としてでなく「長女」であることを求められるからこそ、こうした性格に近づいていくのです。
ここは非常に大切な部分なので、もう少し詳しく解説していきますね。
長女は「親の責任」を肩代わりさせられる
さきほど長女は「子ども」としてでなく「長女」でいることを求められるとお話しました。
具体的にいうと、家の手伝いをしたり、兄弟の面倒を見たり、ひどい環境になると母親自身の世話をしたりですね。
もちろんどこの家庭でも、兄弟の世話をしたり家のお手伝いをすることは珍しくありません。
一般家庭と毒親家庭を分ける決定的な違いは、親が子どもに「完璧」を求めるということです。
長女は親の期待にこたえようと懸命に努力します。
なぜなら「長女」という役割をまっとうすることが、親に愛してもらう、認めてもらうただひとつの手段だからです。
ですが、いくら頑張って努力しても子どもは子ども。親の代わり、大人の代わりには絶対になりません。
さきほどお話した長女のこうした性格は、本来「親が果たすべき責任」を押し付けられた結果、必然的に生まれたものなのです。
「お姉ちゃんなんだから」という言葉の呪縛
毒親の元で育った長女が生涯苦しむことになるのが「お姉ちゃんなんだから」という親の言葉です。
最初は長女に少しだけ頼るつもりだった親も、すぐにそれが当たり前になり、いつしか大人と同じ結果を求めるようになります。
つまり、親にとって長女は「3人目の親」なのです。
「お手伝いをしてくれてありがとう」という子どもへの感謝はなく、長女は子どもには背負いきれない責任を抱えることになります。
本来、年齢や立場は子育てには関係がないものです。
長女であろうと、次女であろうと、三女であろうと、親から等しく愛情を受け取り、健やかに育つ権利があります。
ですが、毒親家庭ではただ数年兄弟よりも早く生まれたと言うだけで「長女=3人目の親」としての責任を負わされます。
自分から望んで姉になったわけではないのに、周囲からの「お姉ちゃんなんだから」という言葉に生涯苦しめられることになります。
毒親に責任を背負わされた長女はどのような大人になるのか?
では、長女という役割を背負わされ育った子どもはどのような大人になるのでしょうか?
挙げればキリがないのですが、ここではその後の人生に影響を与えやすい、3つの特徴について解説します。
- 常に人の顔色をうかがう、自分の意見を伝えるのが苦手
- 母親を見捨てることに罪悪感を感じる
- 下の兄妹に対し、不満や怒りの感情を持ち続けてしまう
順番に解説していきますね。
1.常に人の顔色をうかがう、自分の意見を伝えるのが苦手
毒親に育てられた長女は、成長とともに人の顔色をうかがって生きるのが当たり前になります。
なぜなら、親に言われたことができなかったり反抗したりすると、暴力や暴言をあびせられる環境で育ったからですね。
「親を怒らせないように気をつけないと」
「叩かれないよう、親の機嫌を取らないと」
「親の機嫌が変わるきっかけを見逃さないようにしないと」
常に気を張った環境で生きてきたことで、いつしかそれが当たり前になり、他人に対しても顔色をうかがうって生きるようになります。
またこの相手の顔色の変化に敏感という特徴は、なにかと自分のせいと考える長女の特徴と相性が非常に悪く、生きづらさの原因にも繋がります。
また「自分の意見は取るに足らないもの」との思い込みから、自分の思いや気持ちを他人に伝えることも苦手です。
こうした特徴から、周囲からは
「気が利く人」
「優しい人」
「縁の下の力持ち」
など好意的な評価を受けますが、今度は「優しい自分」「気が利く自分」であり続けることを自分に強制してしまうため、気が休まる時がありません。
2.毒親を見捨てることに罪悪感を感じるようになる
2つ目の特徴は「毒親を見捨てることに罪悪感を感じる」です。
「見捨てる」というと強い言葉に感じてしまうかもしれませんが
- 親のもとを離れてひとりで暮らす
- 親の言うことに反抗したり、無視をする
- 親の望む「理想の娘」をやめる
これらも毒親(特に母親)を「見捨てる」に入ります。
当事者に対して「親なんか無視して自由に生きればいいのに」と呆れる方もいますが、問題はそう簡単ではありません。
親を見捨てることに罪悪感を感じてしまう方に共通しているのは
親が子供の人生を自分の人生のように捉えていた
ということです。
「親にとって、子供の人生は親の人生の二週目である」と言ったほうが伝わりやすいかもしれませんね。
娘に対し、勉強やスポーツ、就職などあらゆる面で過度な期待や結果を強いる一方で、親からの自立を必死に阻もうとする親がいます。
「いい学校に行けるよう勉強しなさい」
「安定した仕事以外は認めないから」
「(思春期の頃)あなたは恋人なんて作らなくてもいいのよ」
なぜ毒親はこうした発言をするようになるのでしょうか?
答えは、毒親自身が人から低く見られること、能力がないと思われること、見捨てられることに強い恐怖を感じているからです。
その恐怖心から子どもを強く縛り、子供から人生の重要な選択の機会を奪っていくのです。
人生の重要な決断の大部分を親に支配されると、なにをするにも親の許しが必要なように感じてしまうようになり、冒頭でお話した「親を見捨てる行為」ができなくなります。
パートナーや友人から「母親の言うことなんて無視して、自分の人生を生きよう」と言われても、そう簡単に染み付いた生き方や行動を変えることはできません。
3.下の兄妹に対し、不満や怒りの感情を持ち続けてしまう
3つ目は「下の兄妹に対して、不満や怒りを持ち続けてしまう」です。
特にこの特徴は「妹」に対して顕著に見られる特徴と言えるでしょう。
とはいえ、妹に対し実際に「私ばかり苦しい重いをした!許せない!」と怒る方はほとんどいません。
心のなかで
「なんでこの子は許されて私はダメだったんだろう」
「妹は自由に人生を決めてきたのに…」
「私ももっと親に干渉されず生きたかったな」
このような漠然とした不満や怒りを抱えてしまうことが多いのです。
「妹との仲は決して悪くないものの、心が通うほど仲が良いとはいえない」といった温度感の方が多い印象ですね。
毒親育ちで長女の方は、良くも悪くも我慢強く精神的に大人です。
「妹がうらやましい」「自分ばかり損な役回りを押し付けられていた」と感じていても、それが妹のせいでないことを理解しているため、誰も責めることができずひとり悩み、苦しんでしまうのです。
毒親に育てられた長女は「モラハラ夫」に引っかかりがち【注意!】
私は過去のカウンセリングの経験から
毒親に育てられた長女はモラハラ夫と結婚する確率が高い
と感じています。
モラハラ夫の特徴といえば
- 夫婦間で上下関係を作って支配する
- 言っていることがその時々によって変わる
- 日常的に暴言で相手を傷つける
などなど、多くの部分で毒親との共通点が見られるのが特徴です。
では、なぜ毒親育ちの長女の方がモラハラ夫に引っかかりやすいのかですが、モラハラ夫は表面的には魅力的で頼りがいがあるように見える、というのが理由だと私は考えています。
付き合っている段階では「この人になら甘えても許されるかも?」と感じ、子供の頃に押さえつけていた「愛されたい」という潜在的な欲求が強く働きます。
あれだけ親と似ている人とは付き合わないようにしようと気をつけていたのに「気がつけば…」という方は本当に多いですね。
すぐに別れを決断できれば良いのですが、ここでも
- 自分に問題があると考える
- 良くも悪くもガマン強い
- 常に相手の機嫌をうかがう
といった特徴が邪魔をし、頭では離れたほうが良いと分かっているのに、なかなか環境を変えることができません。
気がつかない内に子供を巻き込んでしまうかも?
夫がモラハラ気質かつ、子供がいる場合は特に注意が必要です。
「子供のために完璧な母親にならないと」
「夫に文句を言われないように躾はしっかりしないと」
「夫が子供をみて落胆しないように育てないと」
モラハラ夫から子育てで責められないよう、つい頑張りすぎてしまい「過干渉」になる親は決して少なくありません。
前提だけ見ればモラハラ夫に原因があるのですが、小さな子供には親のどちらが悪いかどうかの判断はつきません。
ちなみにですが「毒親は連鎖する」は事実です。
自分の親が毒親と気が付かずそのまま成長し、自分が子供の頃にされたことをそのまま繰り返してしまう人は、決して少なくありません。
なぜ「長男」はターゲットにされないのか?
ここまで記事を読んだ方の中には
「それなら長女だけでなく、長男にも同じことが言えるのでは?」
と思った方もいるかもしれませんね。
ですが、これまでのカウンセリングの体感として「長男だけ」が毒親のターゲットになる率はかなり低いです。
さきほど「長女=3人目の親」とお話しましたね。
徐々に時代が変化してきているとは言え、家事や育児が女性の仕事と考える人はいまだに多くいます。
つまり、家事や育児を押し付けるのは基本的には父親ではなく母親で、母親は同性である娘に厳しくなります。
「なぜ母親は同性に厳しいのか?」という問いについて、論理的な回答はできないのですが
「子供」であるのと同時に「女性」だから
というのが私の率直な回答になります。
これまでのカウンセリングでも
「そんな色気づいて男をひっかけるつもり?」
「あなたに可愛い格好なんて似合わないわよ」
「あなたは貧相な身体をしてるわね」
などの言葉で、子供をはずかしめようとする親の話を、毒親育ちの女性の方からたくさん聞いてきました。
ですがこれが息子の場合、はずかしめを与えるよりも、むしろ溺愛するパターンの方が圧倒的に多いのです。(いわゆる過干渉ですね。)
とはいえ、毒親に苦んできたという面では長女も長男も変わりません。
毒親としてのアプローチ方法が違うだけなので、兄弟に対して「自分だけが苦しんできた」と思わないよう、注意が必要です。
「もう家を出たから安心」と油断しないこと
記事内でもお話した通り、毒親にうえ付けられた考え方や行動は無意識に現れ、あなたを苦しめます。
「もう実家を出たから」
「親とは決別してるから」
と安易に考えず、恋人や友人、配偶者に頼り「自分の行動を客観視できる状況を作る」というのは、自分のためにも、周囲の人のためにも、とても大切なことです。
もしあなたが以下のように感じてしまうのであれば、それは毒親への執着が強く残ったままの状態だといえます。
- 家を出て親と離れているのに、親への怒りが収まらない
- 気がついたら子どもに強く当たってしまい、いつも自己嫌悪
- 自分を好きになれない、なにをしていても楽しくない
多少時間はかかりますが、本当の自分の人生を取り戻すためにも、一つひとつ手順を踏んで毒親を克服していきましょう。
毒親の克服方法については以下の記事で詳しく解説しています。
【おすすめ】毒親の克服、親への不安や恐怖を手放す方法【心理カウンセラーが解説】この記事のまとめ
今回は毒親と長女をテーマに解説しました。
この記事を読んだ長女の方の中には、過去がフラッシュバックし、少し気分がツラくなってしまった方もいるかもしれませんね。
長女というだけで、これまでたくさんつらい思いをされてきたのだと思います。
ですが、あなたの人生はあなたのもの。
親が望む人生ではなく、あなたが望む人生を送れるように動いていきましょう。
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