
すぐに被害者のフリをする親と話していてツラいです…。娘としてどのように接すればいいのでしょうか?被害者ぶる親の対処法が知りたいです。
この記事ではこんな疑問を解決します。

この記事はこれまで私がカウンセラーとして得た知見、加えて自身の毒親育ちの経験を元に深く解説していきます。
こんにちは、心理カウンセラーのしん(@psynote__)です。
先日、こんなツイートをしました。
小さな頃は暴力や暴言でいうことを聞かせられていた子供も、大人になるとそう簡単にコントールすることはできません。
そこで毒親が使うのが「被害者のフリ」です。
今回は毒親が被害者のフリをする理由やその対処法について、詳しく解説します。
被害者ぶる毒親に対しあなたが取るべき行動【相手にしない】

この記事にたどり着いたあなたは、なにかとすぐに被害者のフリをする毒親に対し、日々イライラさせられていることでしょう。
そんなあなたのために、まず大切な結論からお話します。
あなたが親に対し取るべき行動はただひとつ
「相手にしない」
これに尽きます。
被害者ぶる親と無理に話をしたり、意見をかわそうとする必要はありません。「被害者のフリを始めたな」と感じたら、すぐに黙ってその場をはなれることが大切です。

そんな態度を取るあなたに対し親は怒りを見せるかもしれませんが、被害者ぶっても意味がないことを親に分からせる必要があります。
被害者ぶる親に対し、なぜ「相手にしないこと」が重要なのか。
これから詳しく解説していきます。
なぜ相手にしないことが大切なのか?

被害者ぶる親に対し相手をしないことが重要な理由は、「被害者ぶる」という行動そのものが、子供をコントロールする方法のひとつ、だからです。
もう少し噛み砕いて言えば「被害者ぶることで子供に罪悪感を与えて思考の選択を奪う」ということですね。
親は子供に対し被害者ぶることで
「自分が間違っているのかな?」
「親に対し文句を言いたくなるのは変のかな?」
「親を大切にできない自分は精神的に未熟なのかな?」
と、子供に思わせることができます。

あなたは親に対し自分の意見を伝えたり、親と違う考えを持つことに居心地の悪さを感じませんか?それは親に対する無意識の罪悪感が原因です。
また仮に罪悪感を感じてなかったとしても、被害者ぶる親を見ることでイライラしたり、怒りを感じてしまう方もいるでしょう。
毒親に対する怒りは毒親への執着となり、毒親を克服できない原因に繋がります。
「被害者ぶる親」は自分に都合の悪いことは絶対に認めない【ある女性の例】

被害者ぶる毒親に共通しているのは、「自分に都合の悪いことは認めない」ということです。

その例として、カウンセリングで出会ったある女性の話をしようと思います。
その女性は50代の方で、毒親とは関連のない内容のカウンセリングに申し込まれた方でした。
女性の人物像を知るためにあれこれと質問していたのですが、私が「あれ?」と疑問を感じたのは、その女性の過去や子供について、話が及んだあたりです。

私の娘はもうすぐ30歳になるのにほとんどニートみたいな状態で…。昔はがんばり屋だったんですがねえ…。
疑問に思った私はこんな質問を彼女に投げかけてみました。

「育児の中で叩いたり、怒鳴ってしまうこと。つまり子供の尊厳を傷つけてしまったなと感じた瞬間はありましたか?」
すると女性は多少気分を害した表情をしつつも、以下のような回答をしました。
「娘が思春期の頃は言い過ぎたり、叩いてしまうことがあった」
「でも当時はシングルマザーで余裕がなかった、それは娘も理解している」
「娘は小さな頃から明るい性格だったので、私の行動と娘の現状は関係ない」
明言こそしなかったものの、この女性は「自分の子育てにはさほど問題がなかった」と考えているようでした。
ですが、毒親育ちの方であれば、この娘さんの気持ちが痛いほど理解できるのではないでしょうか。
「わたしの子育てに問題はなかった」という親の思い込み

この女性が「私の子育てに問題がなかった」と考える裏付けは以下の3つです。
この発言から「自分の行動に問題があった」「娘に対し責任を感じている」といった、反省や後悔は残念ながら感じられません。
ここで重要なのは、娘の立場からすると
は娘の立場ではどうにもできない問題だったということです。
つまり、親がいくら当時ストレスを感じていたとしても、そこに「子供の責任」は存在しないというとですね。

ストレスだと感じる環境を作り出したのは親自身の責任であり、子供は関係ありません。
また、子供の一面を見て
「私の子供は明るい性格だった」=「だからきっと傷ついてはいない」
と決めつけてしまっていることも問題です。
親が明るいと考えていた子供の性格が実は、子供の我慢によって作られていたケースは少なくありません。
本来、あたたかい家庭を作るのは子供ではなく親の役割です。
ですが毒親のいる過程では、その役割が親と子で逆転してしまうのです。
自分に問題があるのではなく「子供」や「環境」に問題があると考える

被害者ぶる毒親は、自身の行動の正当化のために「子供」や「環境」に問題があると考えます。
「夫が育児に非協力でいつも苦労をしていた」
「兄弟と比べて手のかかる子供だった」
「子供のためを思うがあまり厳しく接してしまった」
このように、被害者ぶる親は基本的に自分の子育てに問題があったことを認めようとしません。
さきほどの女性のように、ときどき問題があったことを認めることもありますが、あくまで悪いのは「子供の態度・行動」や「環境」です。

親である自分自身に問題があるのではなく、毒親的な行動をとらせてしまう「子供」や「環境」こそが悪い!ということですね。
ですが実際のところ、本当に問題を抱えているのは子供ではなく親です。
このブログではなんども説明していますが、毒親が「毒親としての行動」を取ってしまうのは、毒親自身が子供に対し、潜在的な恐怖や不安を抱えているからです。
これらは多くの毒親が持つ心理ですが、基本的に毒親は「子供をコントロールできない状況」を恐れています。
そしてその結果として
などの行動を取るようになります。
毒親は普通の親のように子供と話し合うことができないため、こうした行動が無意識の解決パターンになってしまっているんですね。
親自身は自分が抱えている潜在的な恐怖や不安に気がついていないため
「自分(親)が怒りを抱えて子供に当たってしまうのは、子供がそうさせているから」
と本気で考えてしまうのです。
そして重要な点として、こうした性格は年齢を重ねたからと言って治るものではありません。

私が記事の冒頭で「相手にしないことが大切」とお話したのはこのためです。
精神的にも肉体的にも大人になったあなたは、つい親を言い負かそうとしたり、親に反抗してしまうかもしれません。
ですが、親は最初から自分が悪いとは思っていないのです。
相手にすればするほど、傷つくのはあなたなのです。
被害者ぶる毒親は母親に多いのか?

被害者ぶる親の話は父親、母親両方で耳にしますが、ケースとして多いのは圧倒的に「母親」です。

前時代的な考え方ではありますが、母親の中に「女性」=「弱者」という思い込みがあるのも原因のひとつかもしれません。
被害者ぶる毒母は徹底的に「弱者」を演じます。
演じるだけではなく、実際に病気を抱えていたり、アルコールやタバコ依存など健康状況が悪いことも少なくありません。
そんな母親に対し不満を伝えたり、自立するそぶりを見せると
「大切に育ててきた子供にそんなことを言われると思ってなかった」
「そんな昔のことを気にしてるのはあなただけ」
「お父さんは分かってくれない、わたしにはあなたしかいない」
などの言葉で、大人になった子供をなんとか自分の元につなぎとめようとします。
繰り返しになりますが、被害者ぶる毒親は「自分がいちばん大切」なのです。
どんなに子供のためを装った言葉を使おうとも、最終的には自分の気持ちを優先してしまうため、子供と気持ちが通うことはありません。

大人になって母親に対し「私はこんなにつらい思いをしていた」と勇気を出して告白したのに、「私のほうがもっと辛かった」と言われた方もいると思います。
相手にしないことで、被害者ぶっても意味がないことを親に伝える

冒頭の話に戻りますが、被害者ぶる毒親に対しては「相手にしないこと」です。
毒親が被害者ぶりはじめたら即座に話すのをやめ、「被害者ぶっても意味がない」ことを親に態度で理解させましょう。
毒親を克服する上で
これらは避けては通れない必須のプロセスです。
もしあなたが今も毒親に苦しめられていると感じるのであれば、以下の記事もぜひあわせて読んでみて下さい。
毒親の克服、自分らしい人生の歩き方【カウンセリング解説】この記事のまとめ

今回は「被害者ぶる毒親」をテーマに解説しました。
毒親に対し「相手にしない」「感情的にならない」は言葉だけ見ると簡単に思えるのですが、実際に行動に起こすとかなりのストレスを感じるはずです。
最初からできる人はいないので、意識して繰り返し行動してみてくださいね。
親を相手にしていないという事実が、あなたの自己肯定感を高めてくれるはずです。
今回は以上になります。
【関連記事】毒親育ちが「自己肯定感」を手に入れるには?
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