毒親育ちで苦しんできた自分が毒親になっている気がします。毒親を止めるにはどうすればいいのでしょうか?
この記事ではこんな疑問を解決します。
- 毒親育ちが「毒親」になってしまう理由。
- 毒親が連鎖する理由は過去の正当化にこそある。
- 子育ては心の奥底に隠していたトラウマを無意識に掘り返してしまう。
しん | 心理カウンセラー
心理カウンセラー。過去のカウンセリング実績500件以上。自身の毒親育ちの経験を活かし、毒親の克服方法やアダルトチルドレンの改善などを中心に、「読者の悩みの根本的な解決」を目指し発信しています。
こんにちは、心理カウンセラーのしん(@psynote__)です。
「毒親に育てられた子供は毒親になりやすい」
あなたはこうした言葉を聞いた事があるでしょうか?
最初から毒親になろうと思う人はいません。
たいていの場合、毒親の原因はその人の過去「子供時代」が関係しています。
今回は「毒親をやめる」というテーマで、毒親の原因ややめかたについて解説していきます。
あなたは本当に毒親なのか?毒親チェックリスト
「もしかして自分って毒親?」と心配になりこのページに辿り着いた方へ。
まず、あなたにお伝えしたいのは「この世に完璧な親はいない」ということです。
子供に対し感情的に当たってしまうこともあれば、時には子供の心を傷つけてしまうこともあるでしょう。
ですが、それはどの家庭でも起こっていることで、決して大きな問題にはなりません。
親と子供の間に基本的な信頼感があれば、子供も親の間違いを受け入れてくれるはずです。
このページで解説する毒親とは、意識的にしろ無意識的にしろ
「繰り返し執拗に子供にトラウマを与える親」
を指します。
- 子供に対し怒りの感情が抑えられくなる
- 子供の行動を制限、コントロールしたくなる
- 子供が幸せそうにしているのを見ると理由もなくイライラしてしまう
- 良くないと分かっているのに暴力をふるってしまう
- 必要以上に子供に暴言を吐いてしまう
もしあなたがこれらの内容に一つでも当てはまるのであれば、あなたは「毒親」の可能性があります。
【関連記事】あなたの親が「毒親」かどうかを判断する5つの基準毒親になる人の特徴として「親が毒親」というケースは非常に多いと言えるでしょう。
え、自分の親は普通だった気がするけどな…
中にはこのように思う方もいると思います。
ですが、毒親のトラウマに関しては、本人がハッキリと自覚している場合もあれば、無意識に過去のトラウマを封印しているケースの2パターンがあります。
もう少し具体的に過去のトラウマについて見ていきましょう。
なぜ毒親になってしまうのか?幼少期のトラウマとの関連性
毒親になる人の多くは、子供の頃に以下のような状況に置かれているケースが特に多いです。
- 虐待を受ける(身体的だけでなく言葉や態度も含む)
- 過干渉、親にコントロールされる状況に置かれる
- ネグレクトを受ける(育児放棄)
- 離婚や死別によって親を失う
- 子供が親の代わりになる(親や兄弟の世話をさせられる)
小さな子どもにとって、親との関わり合いはその後の人生に大きな影響を与えます。
親に常に否定されて育った子供は自己肯定感が身につかず、自分が人より劣った存在だと考えるようになります。
また、親にコントロールされて生きてきた子供は、自分の意思や考えが分からなくなったり、なにかと自罰的な考え方をしてしまうでしょう。
その他にも
- 他人を信用できない
- 常に不安を感じる
- 完璧主義
- 感情を表現できない
- 特定の人や物に強く依存してしまう
- 自己無価値感
- 抑うつ
などなど、まだまだ数え切れないほどの問題を子供は抱えることになります。
なぜ過去のトラウマは記憶から薄れていくのか?
ではなぜ、毒親育ちの人はこうした自身の過去のトラウマに鈍感になっていくのでしょうか?
これには、「毒親」に対する理解度に問題があると私は考えています。
基本的に「毒親」は毒親育ちの人以外には理解されません。なぜなら、普通の家庭で育った人にとって「親=信頼できる存在」だからです。
親に対して抱いている感情が根本的に違うために
「親御さんは君のことをすごく大切してきたんだね」
「育ててくれたんだから感謝しないと」
「いつまでも過去のことを気にしてちゃダメだよ」
など、普通の家庭で育った人は親を責める発言や態度を良しとしません。
また、他人からだけでなく、恋人や配偶者にもこうした内容を言われ続けることで、
「きっと親も大変だったんだな」
「自分がなにか悪いことをしたから怒られていたんだ」
「親も自分のことを考えていてくれていたんだ」
と、辛かった過去やトラウマを自分自身で正当化してしまいます。
「自分の気持ちよりも周囲の意見を重視してしまう」というのも毒親育ちの人によく見られる特徴です。
過去を正当化することで、一時的にトラウマから逃げることができます。
しかし、これまで自身の過去の正当化によって抑えられていたトラウマが、「子育て」によって再び顔を出し始めます。
子育てはあなたの過去のトラウマをほじくり返す
記憶の底に沈めていた過去のトラウマですが、そのトラウマは子育てによって再び掘り返されます。
- 子育てで強いストレスを受けた時
- 子供をコントロールできない状況に直面した時
- 自身の子供時代を追体験するような出来事が起こった時
あなたが子供に対し間違った行動を取ってしまうのは、たいていこのような状況ではないでしょうか?
これにはあなたの潜在的な恐怖心(トラウマ)が関係しています。
- 欠陥のある人間だと思われること
- 自分の非力さを実感すること
- 自分の価値が認められていないと感じること
- 非難や攻撃を受けること
- 自分から人が離れていくこと(見捨てられ不安)
こうした自身が抱えているトラウマから目をそむけるために、子供に対し暴言や暴力、過干渉などのコントロールを行うようになります。
本来あなたが幼少期に得られるはずだった
「愛情」
「承認欲求」
「信頼」
「自己肯定感」
これらを実の親ではなく、子供を使うことで取り戻そうとしている状況とも言えるかもしれません。
と、ここまで毒親であることを責められているように感じた方もいるかもしれませんが、決してそうではありません。
なぜなら、今のあなたを作ったのは「親」であって「あなた」ではないからです。あなたが問題を抱えているのは「親」が原因であって、あなたに責任はないのです。
とはいえ、あなたの今後の未来、そして「子供の未来」の責任は親である「あなた」が負わなければなりません。
毒親をやめるには?ポイントを3つ解説
毒親にによって身についた物事の考え方や行動を根本的に解決するのは簡単ではありません。
解決の過程では自身の過去とも向き合う必要があり、メンタルも不安定になりがちです。カウンセラーと一緒に解決していくことをオススメします。
なので、ここでは毒親をやめるために重要なポイントを3つに絞って解説します。
・子供は親の所有物ではないことを意識する
・子供をコントロールできない状態を受け入れる
・つらい子供時代、過去のトラウマと向き合う覚悟を持つ
順に解説していきます。
子供は親の所有物ではないことを意識する
「子供は親の所有物でない」と考えられるかどうかは、毒親をやめる上でとても重要なポイントです。
「子供が自分の思い通りに動かない」
「子供が自分と違う意見を持つことが許せない」
「子供が自分から離れることが耐えられない(自立)」
たとえ子供だったとしても、ひとりの独立した人間であることに変わりはありません。
子供はあなたの所有物ではなく、子供には子供の考え方や行動、人生があります。
また、親と子供の間に上下関係があったり、子供に感謝を強要するような状況を作っていないでしょうか?
心が健康な親なら「感謝とは、子供から”されるかもしれない”ものであって、子供”しなくてはならない”ものではない」という事が理解できる
不幸にする親-ダン・ニューハース
子供からの感謝は親が努力するからこそ得られるものであって、決して強制するものではありません。
子供をコントロールできない状態はあって当たり前
子供をコントロールできない状態を受け入れることも、毒親をやめるためには必須です。
子供をコントロールできない状況に不安を感じてしまうのは、先程もお話した通り、あなたの心の中にある
- 完璧な状況でないことへの不安
- 子供が自分の手を離れていくことへの不安
- 子供に受け入れられてないという不安
こうしたあなたのトラウマに原因があります。
子供は必死に成長しようとしているにも関わらず、親であるあなたがそれを受け入れられていない状況です。
ですが、子供をコントロール出来ない状況はあって当たり前です。
子供をコントロール出来なくてもあなたの価値は落ちませんし、子供もあなたを見捨てようと思って成長しているわけではありません。
子供の思春期以降、親にできることは子供の意思を尊重して見守ること、干渉は必要最低限で問題ありません。
自分の心を守るために、子供を利用してはいけません。
つらい子供時代、過去のトラウマと向き合う覚悟を持つ
毒親をやめたいのであれば、自分の辛かった子供時代をありのまま受け入れる必要があります。
毒親を克服するには以下の手順を踏んで、適切に過去を処理していく必要があります。
「不安」→「怒り」→「絶望」→「回復」
自信のない方やメンタルの不安定を自覚している方はカウンセラーと話をしつつ、少しづつ進めていくことをおすすめします。
これまで人を頼ることが出来なかったあなたは、人に自分の弱さを見せることに不安を感じているかもしれません。
ですが、あなたが自分の弱さを人に見せたとしても、それであなたの価値が落ち込む事は一切ありません。
「自分の感情を直視し、自分の限界を認めることは、自分を癒すことにもなる」
不幸にする親-ダン・ニューハース
もしあなたが毒親をやめることができなければ
・子供と自然な形で触れ合えない
・子供からの信頼を得られない
・子供もまた「毒親」になる可能性がある
など、あなたにも子供にも悪影響があります。
そしてこの記事を読んでいるあなたは、決してそんな結末は望んでいないでしょう。
あなたが今からでも毒親をやめたい、毒親を克服したいと考えるのであれば、下の記事を参考にして下さい。
【おすすめ】毒親の克服、親への不安や恐怖を手放す方法【心理カウンセラーが解説】自分の弱さやトラウマを認め、傷ついた過去ごと前を向いて歩ける。あなたならきっとそんな強い親になれるはずです。
この記事のまとめ
- 子育ては過去のトラウマを掘り返すきっかけになる
- 毒親は自分の過去やトラウマを隠すために子供を利用する
- トラウマと向き合う時は準備が大切。できればカウンセラーを頼る
「毒親をやめたい」で検索し、この記事にたどり着いたあなたには、なにかしら子供を傷つけてしまった自覚があるのかもしれませんね。
ですが、子供のために自分を変えようとしているあなたは、既にあなたの親とは違う存在です。
身についた考え方や行動を変えるのは決して簡単ではありませんが、子供のためにも、あなたのためにも一歩一歩すこしづつ変えていきましょう。