恋人に「お金を貸してほしい」と言われて、断れなかったことはありませんか?
「お前だけが頼りなんだ」と甘えられて、気づけば相手の生活を丸ごと支えていた。
「おかしい」と頭では分かっているのに、離れようとすると「やっぱりお前しかいない」と言われて、心が揺れてしまう。
こんにちは、心理カウンセラーのしん(@psynote__)です。
もし、あなたにこうした経験に心当たりがあるなら、あなたの恋人は回避依存症の「搾取者タイプ」かもしれません。
この記事では、搾取者タイプの特徴や心理、そしてなぜこの関係から抜け出しにくくなるのかについて、カウンセリングの現場での経験も踏まえながらお伝えしていきます。
「何かがおかしい」のに離れられない
友人に相談すれば「そんな人やめなよ」と言われる。自分でも「都合よく使われている」と感じる瞬間がある。
それでも離れられないのは、あなたの意志が弱いからではありません。
搾取者タイプとの恋愛には、離れようとするほど抜け出しにくくなる独特のパターンがあります。
このパターンを知ることが、今の関係を客観的に見つめ直す最初の一歩になります。
搾取者タイプとは「甘え」と「罪悪感」で恋人を動かす人
搾取者タイプの最大の特徴は、自分の欲求を満たすために、恋人を都合よく利用することにあります。
具体的には、こんな行動が挙げられます。
- 食事やデートの支払いは、いつも相手任せ
- 体の関係はあるのに、「恋人」であることを認めたがらない
- 掃除や洗濯など、身の回りの世話のために呼び出す
ただし、ここで重要なのは、搾取者タイプは暴力や暴言で相手をコントロールしているわけではないということです。
彼らが使うのは、相手の「同情心」や「罪悪感」です。
なお、カウンセリングの現場での印象ですが、搾取者タイプは圧倒的に男性に多いタイプです。
「俺なんかどうせダメな人間だから…」
「お前にしか頼めないんだ…」
こうした言葉で相手の心に入り込み、断りにくい空気を作っていきます。
この一連の流れを整理すると、搾取者タイプの行動には共通したパターンがあります。
- 困っている状況を訴える:「精神的にきつい」「お金がない」など、自分の弱さを見せる
- 断りにくい空気を作る:断られると「結局、俺は一人ぼっちだ…」「誰も助けてくれない…」と罪悪感を刺激する
- 要求を飲むと、急に優しくなる:これまでの態度が嘘だったかのように機嫌が良くなり、将来の話など「未来への期待」をちらつかせる
この「甘え → 罪悪感 → ご褒美」のサイクルが繰り返されることで、恋人は次第に相手の要求を断れなくなっていきます。
カウンセリングの実例として、「彼氏の家賃を肩代わりしているのに、その部屋に別の女性を連れ込まれていた」というケースがありました。
はたから見れば異常な状況ですが、渦中にいる本人にとっては「この人には私がいないとダメだ」という気持ちが先に立ってしまうのです。
あなたの恋人が搾取者タイプかもしれない──5つのサイン
もう少し具体的に、搾取者タイプに見られる行動パターンを挙げてみます。
すべてに当てはまる必要はありませんが、いくつか心当たりがあるなら、一度立ち止まって考えてみてください。
- お願いを断ると、拗ねたり、ひどく落ち込んだ態度を見せる
- 甘えた雰囲気で頼みごとをしてくる
- こちらからのお願いは、何かと理由をつけて断る
- 「どうせ自分なんか…」と、相手の同情を引くような言い方をする
- 「お前だけは特別だ」など、都合のいい”特別感”を演出する
ここまで読んで、「これはただのクズでは?」と思った方もいるかもしれません。
たしかに、行動だけを見ればそう映ります。ただ、搾取者タイプの行動の裏には、本人も自覚していない心理的な背景があります。
「クズ」と片付けてしまう前に知っておきたい視点については、回避依存症の恋人は本当に「クズ」なのかで詳しく触れています。
搾取者タイプから離れられなくなる心の仕組
搾取者タイプの恋人と付き合い続けてしまう人の中には、ある共通した恋愛パターンを持つ方がいます。
「自分に自信がなく、自分の価値を恋人からの評価で確かめようとする」 という心の癖です。
これはあなたが悪いという話ではありません。
こうした心の癖を持つ人は、恋愛の中で
- 恋人のお世話をすること
- 恋人の役に立つこと
- 自分を犠牲にすること
に対する抵抗が薄く、搾取を搾取と感じにくい傾向があります。
さらに厄介なのは、こうした人は相手の表情や感情の変化にとても敏感だということ。
相手が少しでも不機嫌になると「自分のせいかもしれない」と感じ、先回りして相手の望みを叶えようとします。
この「気づきの鋭さ」と「自分への自信のなさ」が組み合わさると、関係はどんどん偏っていきます。
「期待」と「不安」──二つの気持ちが足を止める
搾取者タイプから離れられない理由は、大きく分けて二つあります。
ひとつは、恋人に対する「期待」。
「支え続ければ、いつか変わってくれるはず」
「この人の本当の良さを知っているのは自分だけだ」
こうした期待が、関係を続ける理由になります。
一度「この人には私が必要だ」と信じると、その信念を手放すのはとても難しい。心理学では「一貫性の原理」と呼ばれますが、簡単にいえば「自分が一度信じたことを、なかなか覆せない」という心の働きです。
そしてもうひとつは、「見捨てられるかもしれない」という不安。
「役に立てなくなったら、捨てられるかもしれない」
この恐怖が、相手の無理な要求を受け入れる原動力になっています。
友人から「別れなよ」と言われても別れられないのは、意志の弱さではなく、この不安の深さによるものです。
こうした「期待」と「不安」が交互に押し寄せる関係は、一度離れても元に戻りやすいという特徴があります。もしこの「離れては戻る」というパターンに心当たりがあるなら、回避依存症の恋愛サイクルについても知っておくと、今の関係を整理する助けになるかもしれません。
搾取者タイプが「搾取」をやめられない理由
ここからは視点を変えて、搾取者タイプの心理について触れていきます。
「なぜこの人はこんな行動を取るのか」を知ることは、相手を許すためではなく、今の関係を冷静に見つめ直すためです。
「自分が頑張らなくても、誰かがどうにかしてくれる」
回避依存症の主な原因は、小さな頃の親との関わり方にあります。
搾取者タイプの場合、特に過保護な親、とりわけ「母親」に育てられたケースが多い印象です。
「子供のため」という建前のもと、先回りしてあれこれ世話を焼く親のもとで育つと、子供の中に「自分が動かなくても、人がどうにかしてくれる」という感覚が根づいていきます。
これが大人になったとき、恋愛関係の中で「恋人が自分の面倒を見て当然」という態度として表れることがあります。
「お金」や「体の関係」で自分を満たそうとしている
搾取者タイプの人は、どのタイプの回避依存症にも共通する「自己肯定感の低さ」を抱えています。
漠然とした不安感、やり場のない焦り。こうしたネガティブな気持ちの発散先として、「お金」や「体の関係」を相手から引き出そうとすることがあります。
相手をコントロールし、思い通りに動かすことで
「自分は偉い」
「自分はこいつより上だ」
と、歪んだ形で自信を得ようとしているのです。
搾取者タイプの中には、モラハラ的な言動を併せ持つ人もいます。また、自分への称賛を過剰に求めるナルシストタイプの特徴が重なっているケースも珍しくありません。
搾取者タイプとの関係が発展しにくい理由
率直にお伝えすると、搾取者タイプとの恋愛は、他のタイプの回避依存症と比べて関係が発展しにくい傾向があります。
他のタイプ、たとえば「脱走者」や「独裁者」タイプには、行動の裏に「本当は愛情を求めている」という矛盾が隠れていることが少なくありません。
一方、搾取者タイプが恋人に求めているのは
- お金
- 体の関係
- 身の回りの世話
といった分かりやすいメリットであり、「心の奥底では愛されたい」という気持ちが薄いケースが多いのです。
極端な言い方をすれば、自分の欲求を満たしてくれる人であれば誰でもいい。
だからこそ、どれだけ長く付き合っても、関係が深まっていく実感を得にくい。
もし、関係が終わった後に突然連絡が来るようなことがあれば、それは愛情からではなく「都合の良い相手」として戻ってきて欲しいという思いが強いのです。
回避依存症の人から突然連絡が来る心理についても、合わせて知っておくと判断の助けになります。
今の関係を振り返るための、ひとつの視点
ここまで読んでくださったあなたは、おそらく今の恋愛に何らかの違和感を抱えているのだと思います。
「別れるべき」とも「続けるべき」とも、ここでは言いません。ただ、ひとつだけお伝えしたいことがあります。
「この関係の中で、自分は何を得ているだろうか」
この問いを、一度だけ自分に向けてみてください。
「愛されている実感」なのか。
「必要とされている安心感」なのか。
「離れたら一人になるかもしれないという恐怖から逃れること」なのか。
答えは人それぞれですし、正解も不正解もありません。
ただ、もし「必要とされること」が関係を続ける一番の理由になっているなら、それは恋愛というより、お互いの不安を埋め合う関係に近いかもしれません。
自分の気持ちに正直になることは、想像以上にエネルギーがいります。
だからこそ、焦らなくて大丈夫です。
振り回される恋愛から、自分のペースを取り戻すために
搾取者タイプとの関係の中にいると、気づかないうちに「相手の気分」がすべての判断基準になっていきます。
「今日は機嫌がいいから大丈夫」
「今は刺激しないほうがいい」
そうやって相手の顔色をうかがい続けるうちに、自分が何を感じているのかが分からなくなることがあります。
この記事では「甘え→罪悪感→ご褒美」のサイクルや、期待と不安で足が止まる仕組みについてお話ししました。
ただ、仕組みを知っただけでは、次に相手から連絡が来たときにまた同じパターンに引き戻されてしまうかもしれません。
メルマガでは、「相手の要求にどう線を引くか」「期待と不安に揺れたとき、何を基準に判断するか」など、記事では踏み込みきれなかった具体的な整理の手順を共有しています。

