恋人の話に、「あれ?」と違和感を覚えたことはありませんか?
前に聞いていた話と微妙に食い違っている。やけに自分を大きく見せるような話が多い。問い詰めたい気持ちはあるけれど、「考えすぎかもしれない」と自分を納得させてきた。
こんにちは、心理カウンセラーのしん(@psynote__)です。
回避依存症の人が嘘をつくのには、多くの人が思っているのとは違う理由があります。
この記事では、嘘をつく心理、よくあるパターン、そして嘘に気づいたときにどう向き合えばいいのかについて、実際のカウンセリング経験をもとにお伝えしていきます。
まず知ってほしいこと。「回避依存症の人=嘘つき」ではない
「回避依存症の人はみんなプレイボーイで嘘つきだ」。以前、そう書かれた恋愛コラムを見かけたことがあります。
断言しますが、これは誤りです。
回避依存症の人すべてが嘘をつくわけではありません。恋愛の中で嘘が目立ちやすいのは主に以下のタイプです。
- ナルシストタイプ:人からよく見られたい、称賛されたいという気持ちが強い
- 独裁者タイプ:相手を自分の都合のいいようにコントロールしたい
ただし、これはあくまで表面的な理由です。
「なぜ嘘をついてまでそうした行動を取るのか?」。
この問いに踏み込むことで、恋人の嘘に対する見え方が少し変わるかもしれません。
回避依存症の人が嘘をつく本当の理由。「悪意」ではなく「心を守る行動」
「よく見られたい」「コントロールしたい」。
これらを表面的な理由と呼ぶのは、この言葉の裏にもうひとつ深い心理が隠れているからです。
それは、回避依存症の人は、弱い自分と真正面から向き合うことができないということ。
回避依存症の人が嘘をつく根底には、自分で自分のことを認められない「自己肯定感の低さ」があります。
普通の家庭で育った人であれば、「素の自分を見せても、周囲の人に嫌われない」ということを経験的に知っています。だから、必要以上に自分を大きく見せようとはしません。
しかし回避依存症の人は、そうした感覚を持てません。
「能力が低いと思われたら、幻滅されてしまうかも…」
「スキを見せたら、相手に支配されてしまうかも…」
素の自分に対するコンプレックスが強いために、弱さを見せまいと嘘をつくようになります。
特に、自分への称賛を過剰に求めるナルシストタイプの場合、見栄を張るための嘘が重なりやすい傾向があります。
嘘を「悪いこと」だと感じていない
恋人に嘘をつく回避依存症の人たちに共通しているのは、嘘をつくことに罪悪感を覚えにくいということです。
普通であれば、嘘をつけば
「相手に悪いのではないか」
「バレたら傷つけてしまう」
と感じます。
ではなぜ、回避依存症の人はそう感じにくいのか。
それは、回避依存症の人にとって嘘が「自分を守るための行動そのもの」だからです。
- 自分で自分を認められない
- 弱さを人にさらけ出せない
- 自信のなさを見破られたくない
嘘は、こうした問題から一時的に目を逸らすための「心を守ろうとする動き」のひとつです。
本人にとっては「人を騙している」という感覚ではなく、「自分を守っている」という感覚に近い。
もうひとつの理由として、回避依存症の人は相手が傷つくとに鈍感という特徴もあります。嘘がバレたときに相手がどう感じるかを想像する力が弱いため、嘘を重ねることへのハードルが低くなりやすいのです。
だからこそ、嘘がバレたとしても開き直るか、逆ギレする。
嘘を認めることは「自分の弱さを認めること」と同じなので、どれだけ証拠を突きつけても素直に認めることはほとんどありません。
カウンセリングでも、嘘がバレた後に素直に認めたというケースは、私の記憶ではほぼありません。
カウンセリングでよく聞く、回避依存症の人がつく嘘
ここでは、私がカウンセリングで実際に聞いてきた、回避依存症の人がつく嘘の例を紹介します。
「自分はいつも恋人に裏切られてばかりだった」
おそらく、回避依存症の人がつく嘘の中で最も多いものです。
特に付き合い始めの頃、急速に距離が縮まっている時期に、こうした言葉が出てくることが多い。カウンセリングで話を聞いていくと、このタイプの嘘は交際初期に集中しています。
相手の同情を引くことで、早い段階で特別な関係を築こうとするためです。
実際には、自分の行動が原因で恋人に愛想をつかされているケースがほとんど。ただ、「自分に問題があった」と認めることは弱さを認めることと同じです。だから、相手に責任を押しつけつつ、恋人の同情を引く嘘をつきます。
「自分だけはこの人を見捨てないであげよう」。そう思わせるのが、この嘘の狙いです。
「僕は人と関わると疲れてしまう。誰もそばに置きたくない」
これも、回避依存症の人からよく聞く言葉です。
「疲れてしまう」までは嘘ではありません。ただ、心の奥では自分を認めてくれる人を常に求めています。
「誰もそばに置きたくない」と伝えることで、自分は本気にならないことを暗に示し、都合のいい距離感を維持しようとしているのです。
「自分は会社では重要なポストにいて、周りからの人望も厚い」
恋人からの称賛が欲しいがためについていた嘘です。
カウンセリングに来られた方の話では、長い間「彼はすごい人なんだ」と信じていたそうです。あるきっかけで話の大部分が嘘だと分かったとき、とても深いショックを受けていました。
実際にはなんの実績もなく、周囲からも煙たがられていた。素の自分を認められないことが、ここまで大きな嘘につながることがあります。
嘘と本当を見分けるための3つのヒント
これまで多くの方の相談を聞いてきましたが、最初から嘘を見抜けていた方はほとんどいません。後から振り返って「あのとき既におかしかった」と気づくことの方が圧倒的に多いのです。
厄介なことに、回避依存症の人の嘘を信じれば信じるほど、相手はさらに嘘を重ねるようになります。「嘘をつけば自分が守られる」と学んでしまうからです。
ただし、嘘の動機は限られているため、内容も自然と似通ってきます。以下の3つを意識してみると、嘘のパターンが見えてくることがあります。
- 前にも似たような話をしていなかったか:同じテーマの自慢話や被害者アピールが繰り返されていないか。
- あまりにも話が出来すぎていないか:本人の現状から考えて、不自然なほどドラマチックな話になっていないか。
- 話の内容と現実に大きなギャップがないか:職場での立場、友人関係、過去の恋愛など、本人の言葉と実態がかけ離れていないか。
短期間で見分けようとする必要はありません。長い時間をかけて「あれ、なんか話が違わないかな?」と気づけるくらいが丁度いいと思います。
そしてもうひとつ、お伝えしたいことがあります。
もしあなたが恋人の嘘に「薄々気づいていた」のだとしたら、その直感はおそらく正しかったのだと思います。
多くの方が、「おかしいとは思っていた。でも、信じてあげたかった」と話してくれます。気づけなかった自分を責める必要はありません。あなたの感覚はちゃんと機能しています。
嘘に気づいても「指摘しない」という選択
嘘に気づいたとき、真っ先に「問い詰めたい」と感じるのは自然なことです。
たとえば、「前に言ってたことと違うよね?」と食い違いを指摘する。LINEの履歴やスクリーンショットを証拠として突きつける。相手が認めるまで問い詰め続ける。
こうした行動は一見「正しいこと」に見えますが、回避依存症の人に対しては逆効果になりやすいのです。
回避依存症の人にとって、嘘は辛い現実から自分を守るための行動です。
嘘を正面から指摘することは、相手にとっては「自分の弱さを暴かれた」ことと同じ意味を持ちます。
「自分の弱さを暴かれた」と感じた瞬間、相手は逃げるか攻撃するかのどちらかに振り切れてしまいます。音信不通になったり、逆ギレしたり、モラハラ的な態度が強まることも珍しくありません。
嘘に気づいたとしても、
「ああ、この人は今、自分の弱さを隠そうとしているんだな」
と、あえて何も言わない。その方が、結果的に関係を穏やかに保てることが多い、というのがカウンセリングの現場での実感です。
ただし、これは「嘘を許し続けなさい」という意味ではありません。
「指摘しない」とは「何も感じないふりをする」ことではなく、嘘に気づいたことは、あなたの心の中にそっとしまっておく。
そして、その嘘が「自分を守るための些細なもの」なのか「あなたの生活や心を大きく損なうもの」なのかを、冷静に見極めることが大切です。
後者であれば、それは「指摘する・しない」ではなく「この関係を続けるかどうか」という別の問いに切り替わります。
大切なのは、相手の嘘に振り回されるのではなく、あなた自身が「何を信じるか」「どこまで付き合うか」を決められる状態でいることです。
嘘に振り回されず、自分の判断軸を持つために
回避依存症の恋人の嘘に向き合い続けるのは、想像以上に消耗します。
「本当のことを言ってくれているのか」
「また嘘ではないか」
そう考えるたびに、自分の感覚まで信じられなくなっていく方もいます。
この記事では、嘘の裏にある「自分を守りたい」という心理と、嘘のパターンの見分け方についてお話ししました。ただ、理屈で分かっていても、いざ恋人を目の前にすると判断がぶれてしまうことがあります。
メルマガでは、「恋人の言葉にどこまで付き合うか」「揺れたときに立ち戻れる自分なりの基準の作り方」など、記事では踏み込みきれなかった具体的な整理の手順を共有しています。

