回避依存症の恋人が愛情表現をしてくれません。付き合い始めの頃のような愛情表現をしてもらう方法ってあるのでしょうか?
この記事ではこんな疑問を解決します。
しん | 心理カウンセラー
心理カウンセラー。過去のカウンセリング実績500件以上。毒親育ち。自身の恋愛依存症・回避依存症の経験を活かし、「読者の悩みの根本的な解決」を目指し発信しています。
- 回避依存症者の愛情表現に悩まされる根本的な理由
- 「愛情深い彼」も「冷たい彼」もどちらも「本当の彼」
- 彼に愛情表現を増やしてもらう方法
こんにちは、心理カウンセラーのしん(@psynote__)です。
先日、こんなツイートをしました。
カウンセリングの中で
「彼がまったく愛情表現をしてくれないのですがどうしたらいいですか・・・?」
といったご相談を受けることが多くあります。
これは回避依存症の人とお付き合いしている方の多くが悩むポイントですね。
大前提として、回避依存症の人の愛情表現の感覚は普通の人とはまるで違います。
なので、もしあなたが
「彼に愛されている気がしない…」
「なんでこんな冷たいんだろう…」
「付き合った時はこんなじゃなかったのに…」
と感じていたとしても、それは当然のことです。
今回はこうしたお悩みをもつ方に向けて「回避依存症の彼の愛情表現」について解説していきます。
この記事を読み終わる頃には、あなたの不安も少し解消されることでしょう。
彼の愛情表現について悩んでいる方、ぜひ最後まで読んでみてくださいね。
そもそも回避依存症って?
回避依存症をひとことでまとめると「人と親密になることに不安を感じる人」になります。
回避依存症の基礎について知りたい方は、以下の記事を参考にして下さい。
関連記事:『回避依存症』って?原因や特徴、タイプごとの性格について。元・回避依存症が徹底解説します回避依存症者の愛情表現は変化していく
まずはじめに、とても大切なことをお伝えします。
それは「回避依存症者の愛情表現は時と場合によって変化する」ということです。
ある時は冷たく、ある時はとても愛情深く接するのが回避依存症者の特徴で、この基本原則を変えることはできません。
『彼の愛情表現は、あなたとの関係性で常ににゆれ動くもの』と考えてください。
そのため、愛情深い彼だけを追ってしまうと、間違いなくつらい恋愛になります。
では、なぜ彼の愛情表現は変化するのでしょう?
そのために、まずは彼の愛情表現の変化の流れについて解説します。
ハネムーン期(付き合いはじめ)
回避依存症者の多くは、付き合い始めとその後で人が変わったように態度が変化します。
出会った直後、付き合い始めの彼の愛情表現を思い出してみてください。
その上で、以下の特徴に当てはまるものはありませんか?
- 「大好き」「一緒にいれて幸せ」などの言葉をくり返し伝えてくれる
- あなただけを特別視してくれる
- 連絡をマメに返してくれる
- 少し返信が遅れると追いメッセージを送ってくれる
- キスやハグ、セックスを執拗に求める
『そうそう!』と思った方も多いのではないでしょうか。
そんな彼の行動に幸福を感じていたあなたもまた、同じような態度で彼に接していたでしょう。
この相手と自分の求めている愛情が一定の時期を「ハネムーン期」と呼びます。
この「ハネムーン期」は付き合い始めだけではなく、復縁した直後や喧嘩で仲直りした直後にも発生します。
絶望期(おおよそ三ヶ月〜半年)
ハネムーン期が終わり、この「絶望期」に入ると、彼の態度は一変します。
- 連絡をしても未読無視や既読無視
- 「うん」「そう」などのそっけない態度
- 一緒にいても無言
- すぐに不機嫌になる
- あなたを乏しめる発言が増える
- キスやセックスを求めない
この時期に入ると、あれだけ優しかった恋人がまったく別の人に感じられることでしょう。
しかし、なまじ「ハネムーン期」の優しい彼を知っているからこそ
と自分を納得させてしまい、”本当の彼”を取り戻そうと、つらい恋愛の沼にハマることになります。
彼の愛情表現が少なくなる理由
では、なぜ回避依存症者は仲が深まるにつれて、愛情表現が少なくなるなるのでしょうか?
この答えをひとことで言えば「不安」になるでしょう。
では具体的になにが不安なのか?
それは「親密な関係になりすぎること」です。
回避依存症者にとって親密な関係とは
- 裏切られるかもしれない
- コントロールされるかもしれない
- がっかりされるかもしれない
こうした、幼児期のトラウマを思い出させるのです。
回避依存症者の多くは、親からの暴言や暴力。もしくはネグレクトを経験しています。
どちらも本当の彼であることを認める
ただここで勘違いしてはいけないのは、回避依存症者も本心では「人と親密な関係を築きたい」という思いがあることです。
「回避依存症者は釣った魚に餌をやらない」と書かれたネット記事を見ましたが、これは大きな誤りです。
釣った魚に餌をやらないのではなく
『「相手への愛情」と「自らのトラウマ」』
この2つをうまく処理できず混同しているからこそ、一貫した態度でいつづけることができないのです。
おそらく、今のあなたは付き合い始めの頃の彼を取り戻したい、またあの時と同じ態度で接して欲しいと思っているでしょう。
ですが、ハネムーン期の彼だけを求めていては、彼はあなたから離れるばかりです。
まずはハネムーン期の彼も、絶望期の彼も同様に”本当の彼”だということを認めてあげることが大切です。
愛情表現が少なくなるまでの心理状況の変化
回避依存症者は自己肯定感が低く「人に認められたい」という思いがあります。
そのため、自分が気になった人、シンパシーを感じた相手には自分から積極的なアプローチや愛情表現を行います。
ただし、先ほどもお話しした通り、実際に付き合い始め、相手が自分に依存し干渉を始めるようになると、相手の愛情を処理できなくなります。
多くの回避依存症者はこの処理できなくなった愛情を、無理に処理しようと努力します。
その結果として
- 相手を無視する、遠ざける
- そっけない態度をとる
- キスやセックスをこばむ
このような回避行動へと繋がります。
あなたからすれば、彼がとつぜん冷たくなったように感じ、とまどってしまうのも無理はありません。
そして、ハネムーン期の彼が基準になっているからこそ、彼に対しつよい不安や不満を感じるようになります。
彼は一時的に気持ちを落ち着けたい。
だけど不安になったあなたがそれを許さない。
この彼とあなたの間にある親密さのギャップが、追って追われての「依存関係」を作り上げていくのです。
愛情表現が少なくてもあなたを嫌いなわけではない
回避依存症者と付き合うにあたって大切なのは、
愛情表現が少ないからといってあなたを嫌いなわけではない
ということです。
大切なのは「彼はそういう人なんだ」と考えられるかどうか。
つまり、回避依存症の恋人と長続きする関係を作りたいのであれば
まずは彼の愛情表現が少ない状態に慣れること
ここが重要です。
回避依存症者の分かりづらい愛情表現を解説
回避依存症の人の愛情表現は普通の人の感覚からすると
と思うものが多いです。
ここでは回避依存症者だった私自身の経験、およびカウンセリングで聞き学んだいくつかの事例を解説します。
1.自分の話を自発的にしてくれる
もし彼があなたに対し
これらの発言や行動を自発的にしてくれているのであれば、あなたは彼に愛されています。
これらの言動は全て、多少なりとも「相手に踏み込まれても良い」と考えていなければ取れない行動だからです。
回避依存症者にとっては立派な愛情表現のひとつになります。
2.「恋人関係」であることを認めてくれる
「恋人関係であることを認める」
たったこれだけのことですが、回避依存症者にとっては大きな愛情表現です。
回避依存症者にとって恋人関係を認めるというのは、二人の間に「深い繋がり」があるのを認めることと同じです。。
回避依存症者に対し
などの行為をしてはいけないと言われているのは、相手の意向を無視して「無理やり親密になろうとする」行為だからです。
3.脈絡なしに相手から連絡をしてくれる
普段は連絡を取ろうとしても最低限の返事しかしない。
それこそ放っておけば「一生連絡してこないのでは?」という恋人から、前後の会話の脈絡なしに突然連絡をしてくれた経験はありませんか?
こうした行動ははたから見ると突飛な行動のように思えますが、これも回避依存症の人の立派な愛情表現の一つです。
回避依存症の人が大切にしているのは、自分のペースが乱されないこと。
相手から反応がなくて寂しくなれば自分から声をかけますし、決して嫌いだから愛情表現をしないわけではありません。
このように、回避依存症の人と付き合う際は相手のペースを乱さないことを第一に考えて行動することが大切です。
暴力や金銭の要求は愛情表現ではありません
カウンセリングの中で「暴力(セックス含む)や金銭の要求」を愛情表現の一部だと考えている方がいます。
ですが、これは大きな誤りだと断言します。
暴力や金銭を要求するのは、自分に依存している相手をただ都合の良い様に搾取しているだけ。
そこに一切の愛情はありません。
こうした相手に依存している方の多くは
「私だけが彼の味方なんです…」
と言いますが、この関係をどれだけ頑張って続けたとしても、最終的に必ず関係は破綻します。
また、それと同様に
- あなたを管理しようとすること
- あなたに自分の考えを押し付けること
- あなたをからかうこと
これらもまた愛情表現とは呼べません。
これらは愛情表現ではなく、回避依存症者のトラウマ回避、自己防衛のひとつです。
あなたに関心を向けているからと言って、それがすべて愛情ではないことに注意が必要です。
彼に愛情表現を増やしてもらう方法
私は記事の冒頭で以下のようにお話ししました。
繰り返しになりますがこの原則は変えられません。
ですが、愛情深く接してもらう方向、つまり愛情表現を増やしてもらう方法は存在します。
「彼に愛されたい」という思いを少しだけ抑える
彼に愛情表現を増やしてもらう上で最も大切なのは
自分の感情を押し付けず、彼のペースを尊重してあげる
これが重要です。
回避依存症の彼との関係で悩んでしまう方の多くは
こうした特徴があります。
つまり、回避依存症の彼に対し
「もっと彼に愛されたい」
「付き合い始めの頃にもどりたい」
「もっと深い関係をきずきたい」
という気持ちが強いということですね。
もちろん、こうした気持ちを持つこと自体は自然で、決して悪いことではありません。
ですが、あなたが無理に彼を追えば追うほど、彼の気持ちはあなたから離れていくのもまたひとつの事実です。
自分の感情や欲望を抑え、少しだけ彼のペースに合わせることを心がければ、自然と分かりやすい彼の愛情表現も増えていくでしょう。
更にくわしく回避依存症の彼との付き合い方について知りたい方は、以下の記事を参考にして下さいね。
この記事のまとめ
- ハネムーン期の彼を基準にしないこと、 愛情表現が少ない状態に慣れること
- 彼の愛情表現が少なくても、あなたを嫌いではないことを理解し、彼を受け入れることが大切
- 自分の欲求を少し抑えることで結果として彼との関係が良好に、愛情表現も増える
今回は「回避依存症の彼の愛情表現」について解説しました。
回避依存症の恋人が愛情表現をしてくれないのはあなたが嫌いだからではありません。
最後にこれだけ忘れずにいてくださいね。
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