どうしても毒親を許すことができません。親に感謝できない自分がおかしいのでしょうか?毒親に対する怒りの消し方や考え方について教えて欲しいです。
この記事ではこんな疑問を解決します。
- あなたが毒親を許さなくていい理由
- 「毒親を許した」と思い込むことの危険性
- 許さなくてもいい。だけど必ず自分で毒親を克服すること
しん | 心理カウンセラー
心理カウンセラー。過去のカウンセリング実績500件以上。自身の毒親育ちの経験を活かし、毒親の克服方法やアダルトチルドレンの改善などを中心に、「読者の悩みの根本的な解決」を目指し発信しています。
こんにちは、心理カウンセラーのしん(@psynote__)です。
先日、こんなツイートをしました。
この記事ではどうしても毒親を許せない方へ向けて、毒親育ちで現役カウンセラーである私が「毒親を許さくても良い理由」について解説します。
「毒親を許せない」のは正常。無理に許そうとしなくていい
まずこの記事の結論からお話しますね。
もしいまあなたが「毒親を許せなくて悩んでいる」もしくは「この先も絶対に毒親を許したくない」と考えているのであれば
無理に「毒親を許す」必要はありません。
もしかしたらあなたはこれまでこのように考えていたかもしれませんね。
「毒親を許せない自分の心が狭いから」
「親を愛せない自分は薄情者」
「親を許さない=親を見捨てる」
ですが、こうした考えは間違いです。
詳しくは後ほどお話しますが、まず「親を許す」という行為は
”あなたが耐えてきた毒親からの仕打ちを、自分自身で正当化してしまう行動”
に他なりません。
・子供のプライバシーを認めない
・子供の内面の世界や考えを否定
・一貫性のない言動を繰り返して子供を混乱させる
こうした毒親の行動はあなたがいるから起こっていた問題ではなく、親自身が自身の問題と向き合っていないために起きた問題です。そこにあなたの責任は一切ありません。
そうした意味で「毒親を一方的に許す」という行為は、子供が親の問題を肩代わりし解決しようとする「最終形」とも言えるかもしれません。
「毒親を許すべきか」はあなたが決めていいこと
次にあなたにお伝えしたいのは「毒親を許すべきか否か」はあなた自身が決めていい、ということです。
悲しいことに、毒親育ちに対する世間の目はそれほど優しくない、という実情があります。
「育ててくれたんだから親には感謝しないと」
「親の苦労は親にならないと分からないよ」
「いつまで親を憎んでるの?もっと大人にならないと」
あなたも一度はこうした意見を目にしたことがあるのではないでしょうか?
ですが、毒親育ちでない人に毒親育ちの人の気持ちは分かりません。なぜなら毒親に育てられた経験がないからです。
・たえ間なく続く親からの監視
・葬式のように静かな食卓
・常に緊張感がただよう家
どれ一つとっても、普通の家庭ではありえないことであり「毒親が管理している家」の存在はそれほど異質なのです。
人は経験していないことは絶対に想像できません。想像しようとしても、そこには絶対に自分の常識が挟まれます。
つまり「毒親」という存在について言葉では知っている人は多いものの、実際に「毒親に育てられたつらさ」を理解できる人は世の中にはほとんどいないということです。
幸福の形はどれも似通いますが、不幸の形は人それぞれであり、あなたの苦しみはあなたにしか分かりません。
配偶者や恋人、どんなに親しい友人であろうと、あなたの傷ついた心や過去を理解してくれる存在であるとは限らないのです。
ですから、周りから「親を許せないのはいけないことだ!」などと責められたとしても、それを真に受ける必要はありません。
なによりも優先されるべきは、今のあなたの気持ちです。
関連記事:毒親は理解されない。「理解される」という思い込みを捨てて生きること。「自分は毒親を許した」と思い込む危険性
毒親を許す、許さないで一番やってはいけないのは
「自分はもう毒親を許した」と思い込んでしまうこと
だと言えるでしょう。
もう少し具体的に言えば
「昔は問題がある家庭だったけれど、今はそれなりに仲良くやっています」
と考えてしまう、ということです。
こうした思い込みが起こりやすいタイミングとしては
・進学・就職で実家を離れ、親と会う機会が減った時
・自身に子供が出来た時(親に孫ができた時)
・親が年老いて丸くなったと感じた時
こうした状況で思い込みが生まれやすいでしょう。
ではなぜ「自分は親を許した」と思い込むことが危険なのでしょうか?
それは、あなた自身が傷ついた状態のままであるのにも関わらず、苦しかった過去を「自分の責任」で正当化し、受け入れようとしてしまっているからです。
ですが多くの人がこう考えてしまうのも無理はありません。矛盾した気持ちを持ち続けて行動することに辛さを感じてしまうのは、人間として当然だからです。
「本当は親を許したくない」
「でも、世間の目や周囲のバランスを考えると、いまさら波風を立てられない」
このような相反する気持ちを持って親と接することは、子としてとても大きなストレスになります。
そして、そのストレスから自分を守るために「自分は毒親を許した」と無意識に思い込んでしまうのです。
思い込みの結果、毒親が連鎖する可能性がある
毒親に対する過去の思いや怒りを抑え込み「もう解決した!」と考えるのは、言うなれば「くさいものにフタをしただけの状態」です。
フタをしただけで中身はそのまま、クサい状態と言えば分かりやすいでしょうか。
もちろん、この状態のままでも親との関係を表面的なものに留めることで、付き合い続けることは出来ます。
むしろ、そうされている方が大半かもしれません。
ですが、なんらかのきっかけで毒親との関係が悪化したり、過去のトラウマを思い出した時、あなたは今まで以上に強い後悔や怒りを覚えるでしょう。
そして「自分は親を許した」と思い込んでしまう上で一番の懸念となるのが
「毒親的コミュニケーション」を無意識に自分の子供に取ってしまう可能性がある
ということです。
「自分の子供にはつらい思いをさせたくない」という気持ちが強いあまり、過干渉や子供の挑戦の機会を奪ってしまっている、というのは珍しいことではありません。
繰り返しになりますが、仮にあなたが一度や二度、毒親的な行動を取ってしまったとしてもそれはあなたの責任ではありません。
そうなったのは、あなたをコントロールし、そのように作り上げた親の責任です。
ですが、これからの自分の未来や行動に対する責任は、あなた自身が取らなくてはいけません。
自分の親が毒親だと気づき、そこで毒親の連鎖を止められるかはあなた次第だということです。
関連記事:毒親をやめたい方必見。毒親の原因になる過去のトラウマを理解する【3つのポイント】子供だからといって、親に借りがあるわけではない
先程もお話したとおり、社会全体に「親は愛し尊敬すべきもの」という認識は間違いなく存在します。
ですが、それは親自身が子供を「一人の人間」として認め育てていた場合であって、子供をコントロールしていた毒親にはあてはまりません。
親は自身で親になることを選んだのであり、親だからという理由で子供が親を尊敬しなければならない理由はどこにもないのです。
「親は結婚式に呼んで当たり前」
「孫の顔を見せに行くのは子供として当然」
違います。
もしあなたの親や周りの人が、このようなことを言ってきたとしても、実際にどうするか決める権利はあなたが持っているのです。
「親の葬式に出たくありません」
「絶対に親は結婚式に呼びたくありません」
「孫を見せに行くことにつらさを感じます」
もしかすると、あなたはこうした考え持つことに多少の「罪悪感」を感じているかもしれません。
ですが
・自分の意志の通り行動していいのか悩んでしまう
・人の考えを優先してしまう
という考え方こそ、あなたがこれまで親にコントロールされてきた結果なのです。
「親を許さない」と決心すると、感情が不安定になる
「毒親を許さない」と決心すると、あなたの心は親に対するさまざまな感情で乱れます。
「親に今までの人生の借りを返してもらいたい」
「本当はもっと普通の家庭でいたかった」
「この歳になって今も苦しんでいる自分がつらい」
はじめはこれまでの自身の人生に対する「絶望」や「後悔」に襲われるでしょう。
そして一通り絶望した後は、親に対する強い怒りがふつふつと湧いてきます。
・自分が毒親だと認めない親に対する怒り
・長期間、親の言いなりになっていた自身に対する怒り
・親が原因で被った自身への悪影響に対する怒り
「毒親を許さない」、つまり今後毒親を見限るという意味でこの段階が一番つらい理由としては、親に対する強い怒りを感じながらもなお
「親は親なりに自分を愛してくれいたのかもしれない」
という自身の心の矛盾、親を責める罪悪感と戦わなければならないからです。
ですが、あなたが「毒親を許さない」と決め、毒親から精神的な自立を果たすためには、この段階は絶対に避けては通れません。
真実はあなたを開放するであろう。だが、真実はまず、あなたを怒らせる
不幸にする親,ダン・ニューハース
気をつけないといけないのは、「毒親を許さない」と決めただけではこの「怒り」の段階から先に進むことが出来ず、自身の毒親とのつながりを断ち切れないということです。
毒親とのつながりを断ち切り、自分の人生を取り戻す方法については下記のページで解説していますので参考にして下さい。
この記事のまとめ
- 無理に「毒親を許す」ことは誰のためにもならない。
- 今後、毒親とどう接するかについての選択は全て「あなた」が決めていい。
- 「毒親を許さない」と決めただけではだめ。回復のアプローチも必ずセットにすること。そうしないと心を病んでしまう。
毒親育ちのあなたには「親を責める」権利があります。
ですがいくら親を責めたてようとも、親は過去の自身の言動を振り返らず、あなたに対して反省や謝罪をすることはないでしょう。
そんな親を見て「許せない」と思うのは至極当然で、そこに赤の他人のアドバイスが入り込む余地はありません。
人生を幸せに過ごすためには、自分の意見を持ち、自分の人生を主体的に生きられるようになる必要があります。
誰でもない、あなた自身の気持ちや心を大切にしてあげてくださいね。
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