回りの毒親育ちを見ていると優しい人が多い気がします。これって理由とかあるんでしょうか?
この記事ではこんな疑問を解決します。
- 毒親育ちの人は周囲から「優しい人」と認識されることが多い
- 毒親育ちの人が持つ優しさは2パターンに分かれる
- どちらの優しさを持てるかは、毒親を克服できているかどうかによって変わる
しん | 心理カウンセラー
心理カウンセラー。過去のカウンセリング実績500件以上。自身の毒親育ちの経験を活かし、毒親の克服方法やアダルトチルドレンの改善などを中心に、「読者の悩みの根本的な解決」を目指し発信しています。
こんにちは、心理カウンセラーのしん(@psynote__)です
先日こんなツイートをしました。
実は毒親育ちの人に優しい人が多いのには実は明確な理由があります。
今回はその理由についてお話したいと思います。
毒親育ちには優しい人が多い?
結論からいえば、毒親育ちに優しい人が多いのは事実です。
毒親育ちの人は家庭内で弱い立場で過ごしたからこそ、弱い人や傷ついている人に対して優しく接すことができます。
しかし、毒親育ちの人の優しさには2種類あります。
それは
- 本当の優しさ
- 見せかけの優しさ
毒親育ちの人の優しさがなぜこの2つに分かれるのか?
まずは「本当の優しさ」と「見せかけの優しさ」、この2つの違いについて解説していきますね。
本当の優しさを持つ毒親育ち
本当の優しさを持つ毒親育ちは、真の意味で「毒親を克服した人」のことです。
毒親を克服した人は、克服の過程で以下の3点に気がつきます。
- 自分の強み
- 価値観の変化に伴う「感謝の心」
- 自分を大切にする心
これらを深堀りすることで「毒親育ちに優しい人が多い理由」が見えてきます。
順に解説します。
1.自分の強み
毒親を克服したことで、本来の自分の強みに気がつくことができます。
例えば
- 誰かを助けることに喜びを感じる
- 我慢強く努力できる
- 細かいことに気が利く
こうした強みですね。
克服をする前は、毒親からの否定や批判によって自覚できなくなっていた部分ですね。
これらは幸か不幸か「毒親に育てられたからこそ」身についた強みで、毒親に支配されていたからこそ、磨かれた能力とも言えます。
これは考えようによっては、苦しい過去の経験を全て強みにできるということです。。
2.価値観の変化に伴う「感謝の心」
毒親を克服した毒親育ちは、ずっと親に奪われていた「自分由来の価値観」を取り戻します。
自分の価値観を自由に表現したり、大切にすることを覚えると、自然と周りの環境も良い方向に変化していきます。
具体的には以下のような環境です。
- 誰も価値観を押し付け合わない
- 言い争いではない議論ができる
- 感情的になる人がいない
こうした環境に身を置くことで、人に対する「尊敬」や「感謝」の気持ちが強まります。
毒親を克服した人はいつでも「感謝の心」を忘れないからこそ、誰にでも優しくできるのです。
3.自分を大切にする心
大前提として、自分を大切にできない人は他人を大切にできません。
自分を大切にできていない人が持つ優しさは、あくまで「自分のため」になっているケースがほとんどです。
例えば、恋人に過度に依存し、そのために何でもしてあげるような行動は、一見優しく見えるかもしれません。
しかし、そうした行動の裏にあるのは「恋人が自分から離れていってほしくない」という心理。
自分の不安を解消するがための、優しさだということです。
一方で、自分を大切にできている人は、そうした見返りを求めることなく他人の問題にも真剣に取り組めます。
つまり見返りを求めた優しさではなく、本当の「人への優しさ」を持つことができるのです。
見せかけの優しさとは?
見せかけの優しさを一言で表すと
「自分が傷つくことへの不安や恐怖から、人に優しくしてしまう」
ということになるでしょう。
具体的には以下のような動機があります。
- 人に嫌われたくない
- 空気の読めない人だと思われたくない
- 人からの頼みを断るのが怖い
- 自分を信頼しくれる人を裏切れない
こうした動機からくる優しさは本心からの行動ではないので、自分を傷つけたり追い込んでしまうことがあります。
そして、この行動の根底にあるのは「小さな頃の親子関係」の再現です。
例えば、あなはた毒親からの批判や冷たい言葉に対処するために、必死に親の機嫌を取ったり、親の言うとおりに行動していたかもしれません。
「優しい人」でいることの代償
この見せかけの優しさは、続ければ続けるほど自分の心身に大きな負担をかけます。
例えば、職場や学校での「過剰な気づかい」が、ストレスや疲労の原因になってしまうことがあるでしょう。
また、「無意識のうちに自分を犠牲にして他人を助ける」ことで、自己肯定感が低下し、自分を大切にできなくなることもあります。
「人に優しく接することが、自分に価値を感じる唯一の方法」になっている方もいます。
自分が相手を助けることによって、自分に価値があると感じることができるため、他人に助けを求められることに依存してしまうのです。
これは問題のある彼氏・彼女を助ける、恋愛の依存に多いケースですね。
相手からしたら「優しい人」に違いはない
もちろん、見せかけの優しさだからといって、その人が悪い人間だとか、卑怯な人間と言うつもりは一切ありません。
相手から見れば、優しくされていることに違いはないからです。
しかし、本人にとってはつらい状況です。
なぜなら、常に「優しい自分」でいなければならないから。
周りからの優しい人という認識が、より本人を追い詰めます。
人に優しくすればするほど自分を出せなくなっていくので、心当たりがある方は注意して下さい。
毒親育ちだからこその強み【身についたスキル】
ここからは、さきほどお話しした、毒親育ちが持つ「強み」についてもう少し踏み込んで解説します。
私は「考えようによっては、過去の苦しい体験すべてを強みにできる」と言いました。
では具体的に「毒親育ちだからこその強み」とはどのようなものを言うのでしょうか?
ここでは5つ具体例を挙げてみましょう。
- 人の気持ちに敏感
- 協調性が高い
- 共感力が高い
- 問題解決能力が高い
- ストレス耐性が高い
では順に解説していきますね。
1.人の気持ちに敏感
毒親育ちは親の顔色をうかがって育ってきたため、人の気持ちの変化に敏感です。
他の人では絶対に気がつけない、微妙な表情の変化や、言葉のニュアンスの変化を感じ取ることができます。
有効例:友人が悩みを抱えているとすぐに気づいてあげられる。適切なタイミングで声をかけて励ましたり、相談に乗ったりできる。
2.協調性が高い
常に親の助けになることを意識して育った子供は、コミュニケーション能力が高く人との協調性が高い傾向にあります。
これは問題を取りまとめる「調整力」とも言い換えられるかもしれません。
弟や妹をまとめてきた、長女・長男によくみられる特徴です。
有効例:チームで意見が対立した際、双方の意見を理解して、妥協点を見つけることができる。
3.共感力が高い
毒親育ちは苦しい子供時代を送ってきたため、人の不幸や苦しみに対して深く共感することができます。
たとえ自分の知らないことでも、相手の立場に寄り添うことを忘れないので、人からの信頼を勝ち取りやすい傾向にあります。
社会において、他人からの「信頼」は決してお金では買えない価値を持っています。
具体例:職場の同僚が家庭の問題で悩んでいるとき、相手の気持ちに寄り添い、適切なアドバイスや励ましを行うことで信頼関係を築く。その信頼が仕事上でも活きてくる。
4.問題解決能力が高い
親から無理難題を与えられていた毒親育ちは、問題解決能力が高いです。
一見して答えが出ないような問題でも、自分の知識や経験を結びつけることで、なにかしらの解決案を出すことができます。
具体例:未知のトラブルが発生した時でも、焦らず計画を立てることができる。またその計画の独自性が高い。
5.ストレス耐性が高い
何十年も親のストレスにさらされてきた子供は、普通の人よりもストレス耐性が高めです。
普通の人が逃げ出したくなるような環境でも、冷静さを保って行動することができます。
具体例:職場の同僚が家庭の問題で悩んでいるとき、相手の気持ちに寄り添い、適切なアドバイスや励ましを行うことで信頼関係を築く。その信頼が仕事上でも活きてくる。
強みを活かすも殺すも本人しだい
この記事を読んだ毒親育ちの方の中には、自分の性格や特徴と照らし合わせて、共感を覚えた方がいるかもしれません。
毒親育ちでない方にとっては、毒親育ちだからこそ生まれる優しさや強みについて、新たな気づきがあったかもしれません。
しかし、ここで大切なことを一つお話しします。
それは
毒親育ちが結果として高い能力を持つことがあっても、毒親の行動を肯定していい理由にはならない
ということです。
能力よりも大切なものがある
高い能力は後からでも身につけられます。
ですが、子供が必要としている親からの
- 「愛情」
- 「信頼感」
- 「肯定感」
はその時にしか手に入らないものなのです。
これらを大人になってから取り戻すのは、ほぼほぼ不可能です。
自分の強みに気がつける毒親育ちはごく少数
そして現実的には、今紹介したような高い能力を持っていても、それを自覚していない毒親育ちの方が大多数でしょう。
なぜなら、こうした強みは毒親を克服する過程で気がつくものだからです。
もし、この記事を読んでいるあなたが毒親育ちで、自分を犠牲にしている「見せかけの優しさ」に苦しんでいるのなら、まずは毒親の克服を真剣に考えてみて下さい。
毒親の克服方法については、下記の記事で詳しく解説しています。
【おすすめ】毒親の克服、親への不安や恐怖を手放す方法【心理カウンセラーが解説】この記事のまとめ
- 毒親育ちは、弱い人や傷ついている人に対して優しく接することができる
- 見せかけの優しさを持つ毒親育ちは、自分が傷つくことへの不安や恐怖から、人に優しくしてしまう
- 毒親育ちの人がどちらの優しさを持つかは、毒親を克服できているかどうかによって変わる
毒親育ちの方は自分を犠牲にする「見せかけの優しさ」で消耗しないように注意です。
他人よりもまずは自分を最優先に大切にしてあげてくださいね。
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