自己肯定感が低いと恋人に依存しやすくなる。それはもう知っている。知っているのに変えられないから苦しい。
尽くせば尽くすほど相手の反応が薄くなって、追いかけるほど距離が開いていく。別れても次の恋愛でまた同じことが起きる。
その苦しさには不安型と呼ばれる愛着のパターンが関わっています。そしてこのパターンは変えていくことができます。
ただし「自己肯定感を高めれば全部うまくいく」ほど単純な話でもありません。
この記事では不安型の恋愛がなぜ苦しくなるのか、なぜ別れても同じ恋愛を繰り返してしまうのか、そして「自己肯定感を高めよう」だけでは変われない理由についてお伝えします。
「愛されたい」の裏にある、本当の欲求
不安型で自己肯定感が低い人の恋愛には、ある共通した傾向があります。
恋人に対して「愛情」ではなく「自分を認めてもらうこと」を求めてしまうということです。
「私のこと好き?」の本当の意味
「私のこと好き?」
恋人にこう聞きたくなる気持ちは誰にでもあります。だけど不安型の人の場合、この言葉の裏には少し違う意味があります。
- 「私には価値があるって言ってほしい」
- 「私がここにいていいって確かめたい」
- 「私を見捨てないって約束してほしい」
共通しているのは「自分に価値がある」と感じたいという気持ちです。
これまでの相談の中でも「愛されたい」という気持ちを一緒に掘り下げていくと、最後にたどり着くのは「認められたい」であることがほとんどでした。
「愛情」と「認められたいという気持ち」の境目は、不安型の人にとってとても曖昧です。
恋人からの返信が少し遅れるだけで不安になる。スルーされると「嫌いになったのかな」「なんか悪いことしたかな」と考え始める。
それは「愛情を確かめたい」のではなく「自分には価値があると確かめたい」からです。
恋人に「認めてもらうこと」が恋愛になってしまうとき
自己肯定感が低い状態で恋愛を始めると、恋愛そのものが「認めてもらうための手段」に変わっていきます。
恋人に尽くすのも、相手の機嫌をうかがうのも、自分の意見を飲み込むのも。根っこにあるのは「認めてもらいたい」「見捨てられたくない」という気持ちです。
この状態が深まると、いわゆる「恋愛依存」になることがあります。
恋愛依存とは、恋人の反応で自分の価値を測り、恋人なしでは自分を保てなくなる状態のことです。不安型の人がこうなりやすいのは「認められたい」という気持ちが恋愛に一点集中してしまうからです。
恋愛が苦しくなっていく5つの段階
不安型で自己肯定感が低い人の恋愛には、ほぼ決まった流れがあります。
① 恋人に認められようと全力で尽くす
不安型の人は恋人選びにも傾向があります。なぜだか自分に強い関心を向けてくれる人や、自分を必要としてくれそうな人を選んでしまいます。
付き合い始めはお互いが求め合う関係です。「この人こそ運命の人だ」と感じます。
恋人に認められようと懸命に尽くし、その分だけ恋人もしっかり反応を返してくれる。
「自分は必要とされている=自分には価値がある」と感じられて、言葉にできない幸福感に包まれます。
だけどこの状態は長く続きません。この一時の幸福感が忘れられず離れようと思っても離れられなくなっていきます。
② 恋人の反応が薄くなっていく
付き合ってしばらくすると恋人の反応が変わり始めます。連絡が減る。愛情表現が少なくなる。素っ気なくなる。
これには2つの理由があります。
- 尽くされることに慣れた: 「自分から何もしなくてもやってくれる」という慢心が生まれます
- あなたの「認めてほしい」が重くなった: 「わかってほしい」「認めてほしい」という気持ちを受け止め続けることは、相手にとって大きな負担です
結果として恋人はあなたから距離を取るようになります。
このタイミングで別れた場合はまだ傷は浅く済みます。だけど相手にも回避型の愛着パターンがあった場合、この恋愛はここからさらに苦しくなっていきます。
③ 反応を引き出そうとして空回りする
恋人の反応が薄くなるにつれて付き合い始めの幸せを強く思い出すようになります。「あの頃みたいに反応してほしい」。そう思って必死になります。
- 返事がないのに追いLINEを送ってしまう
- わざと無視して相手の気を引こうとする
- 他の異性の話を出して嫉妬させようとする
「自分が必要とされている」と感じたくてこうした行動を取りますが、もちろん逆効果です。
やればやるほど関係にヒビが入る。だけど「見捨てられるかもしれない」という不安が高まっているので、気持ちを抑えることができません。
「恋人に見捨てられること」=「自分には価値がないことの証明」だからです。
④ 不安が爆発して関係にヒビが入る
関係がうまくいかなくなるほど不安や怒りは大きくなります。
「こんなに頑張ってるのに、なんでわかってくれないの」
こうした気持ちが高まるほど「認めてほしい」は強くなります。恋人に負担をかけていることはわかっている。だけど気持ちを抑えられず③に戻ります。
戻ったところで関係は悪くなる一方です。
⑤ 「自分には価値がない」に行き着く
③と④を繰り返すうちに、次第に諦めの気持ちが湧いてきます。
- 「やっぱり自分は愛されないんだ」
- 「なにをやってもダメなんだ」
- 「自分には価値がないんだ」
こうした考えで頭がいっぱいになって、自暴自棄になったり何も手につかなくなったりします。
こうなると恋愛は「悩み」ではなくなります。友人関係や仕事、日常生活のあらゆる場面に影響が出始めます。
別れても同じ恋愛になってしまう理由
ここまで読んで心当たりがある方もいるかもしれません。
不安型の恋愛がもっとも厄介なのは、一つの恋愛が終わっても同じことが繰り返されることです。
別れた後に残るのは
- 「見捨てられた」
- 「自分には価値がない」
- 「自分が悪かったんだ」
という気持ちだけです。
この苦しさを一刻も早く埋めるためにすぐに新しい恋人を探してしまいます。だけどその恋人ともまた同じ流れになります。
なぜなら、恋人に求めているものが変わっていないからです。
「前の恋人とは性格も見た目も全然違うのに、なぜか同じ展開になる」。こう感じたことがあるなら、それは相手の問題ではありません。
相手が変わっても結果が変わらないのは、選んでいる相手ではなく恋愛の中で自分がしていることが同じだからです。
「いつも自分を認めてくれる完璧な人」はいない
不安型の人が心のどこかで探し続けているのは「いつも自分を認めてくれて、絶対に見捨てない人」です。
だけどそんな人はこの世にいません。
恋人にも感情があります。疲れる日もあれば余裕がない日もある。あなたの期待に100%応え続けられる人はどこにもいません。
「いつも認めてくれる人はいない」「自分の理想を完璧にこなしてくれる人はいない」。この2つを心から納得できるかどうかが、同じ恋愛の繰り返しから抜け出すための鍵です。
それは他の誰かに認めてもらうことでは実現しません。自分自身で自分を認められるようになること。つまり自己肯定感を育てていくことが前提になります。
不安型の愛着パターンが作られる背景には、小さな頃の親子関係が深く関わっていることが少なくありません。心当たりがある方は、不安型の愛着パターンと親子関係の関わりにも目を通しておくと、自分の恋愛がなぜこうなるのかがより見えてきます。
「自己肯定感を高めれば変わる」が簡単ではない理由
ここまでの話を読んで「じゃあ自己肯定感を高めればいいんだ」と思ったかもしれません。
確かに自己肯定感を高めることは大切です。だけどそれだけでは足りません。
自己肯定感を高めることと、不安型の恋愛パターンを変えることは別の課題です。
自己肯定感が上がっても「恋愛のパターン」は残る
自己肯定感を高める努力をして少し自信がついてきた。仕事では手応えを感じられるようになった。友人関係も安定している。だけど恋愛を始めた途端にまた同じ流れに入ってしまう。こうしたケースは珍しくありません。
恋愛になった瞬間「認めてほしい」「見捨てないでほしい」が出てきて、冷静でいられなくなる。
それは自己肯定感の問題というよりも、不安型特有の恋愛パターンの問題です。
不安型の人にとって恋愛は他の人間関係よりもはるかに心の距離が近い。だからこそ不安型のパターンが最も強く出る場面でもあります。
恋愛のパターンを変えるために必要なこと
自己肯定感を高めることは「前提」として必要です。だけどそれに加えて、恋愛で繰り返してきた自分の行動を自覚し、その行動が「認めてほしい」から来ていると理解することが欠かせません。
- 「今、自分は認めてほしくてこの行動をしている」と気づけること
- 恋人の反応で自分の価値を測っていることに気づけること
- 「恋人に認めてもらわなくても自分には価値がある」と実感できること
これは一朝一夕でできることではありません。
だけど「自己肯定感を高めよう」「自分を好きになろう」と漠然と言われ続けるよりも、自分の恋愛のパターンを具体的に知ったほうが変化のきっかけは掴みやすくなります。
不安型の恋愛の特徴と愛着パターンにも目を通しておくと、自分の行動をより客観的に振り返れるようになります。
「認めてもらいたい」を自覚することから始まる
「自己肯定感が低いから恋愛がうまくいかない」。その言葉は半分正しくて半分足りません。
自己肯定感を高めることに加えて、恋愛でのパターンに気づき「認めてもらいたい」を自覚できるようになること。それが変化の始まりです。
詳しくは以下の記事で詳しく解説しています。

