回避依存症を治す方法ってあるんでしょうか?もし克服したのならその方法について詳しく知りたいです。
この記事ではこんな疑問を解決します。
しん | 心理カウンセラー
心理カウンセラー。過去のカウンセリング実績500件以上。毒親育ち。自身の恋愛依存症・回避依存症の経験を活かし、「読者の悩みの根本的な解決」を目指し発信しています。
- 回避依存症は「治す」のではなく「癒やす」
- 無理に治そうとすればするほど、恋人はあなたを避ける
- 自力で回避依存症を克服するための3つの手順
こんちには、心理カウンセラーのしん(@psynote__)です。
先日、こんなツイートをしました。
今回は「回避依存症の克服方法」についてお話したいと思います。
回避依存症の克服方法については、大きく分けて下の2パターンに分かれるでしょう。
- 恋人が回避依存症で苦しんでいる方
- 自身の回避依存症を克服したい方
カウンセラーとして活動している私自身、過去には「回避依存症」に苦しめられていました。
もちろん現在は克服しています!
回避依存症の克服は決して簡単ではありませんが、正しい手順を知ることでゆっくり改善可能です。
回避依存症の治し方、克服方法を知りたい方。
ぜひ記事の最後までおつき合いください。
回避依存症について
まず、回避依存症について簡単に解説します。
回避依存症の特徴を一言でまとめると
自分が傷つく状況を無意識に恐れるあまり、人と深い関係になれない人
になります。
回避依存症者の主な特徴としては
こうした特徴があげられます。
回避依存症のタイプ
そして、回避依存症には4つのタイプがあります。
それぞれの特徴を下にまとめました。
タイプだけを見ると、男性ならどれかひとつは当てはまってしまいそうな印象も受けますよね。
ですが、普通の人と回避依存症者で決定的に違うのは
「人に見捨てられることに対してとても敏感」
だということです。
回避依存症の特徴については下の記事で詳しくまとめています。
まずは、あなたの恋人に当てはまるところがないかチェックしてみてくださいね。
回避依存症の特徴やタイプ、回避行動の心理を元回避依存症者が徹底解説します回避依存症は「治す」ことはできない
ここからは「恋人が回避依存症で苦しんでいる方」向けに、回避依存症の治し方について解説します。
まずはじめに、あなたに大切なことをお伝えしますね。
すでにタイトルでネタバレしているのですが
恋人の回避依存症を完璧に治すことは基本的にはできません。
まずはこの事実を恋人であるあなたが、しっかりと理解する必要があります。
そもそも「治す」とはどのような状態のことをいうのでしょうか?
「治す」を辞書で調べてみるとこのように書かれています。
「治す」は、間違った状態や具合の悪い状態などを本来あるべき姿にしたり、好ましい状態にしたりすること~
Goo辞書(治す)
ですが、回避依存症者は自分のことを
- 間違った状態
- 具合の悪い状態
- 問題のある状態
とは考えていません。
「回避行動」はあくまで無意識。だからこそ当人には反省の色が見えないのです。
そのため、あなたがどれだけ「恋人の回避依存症を治そう」と努力しても、それだけではうまくいきません。
回避依存症の克服は「治す」のではなく「癒やす」ことが大切
では、「治す」と似た言葉である「癒やす」を辞書で調べてみます。
「癒やす」は、病気や傷をよくしたり、苦しみ、悩みなどをなくしたりすることである。
Goo辞書(癒やす)
回避依存症者は自分の胸の内を人に明かすことを好みません。
ですが、多くの場合、人に言えない生きづらさや苦しみを抱えて生きてきた過去があります。
もしあなたが、回避依存症の恋人の回避依存症をどうにかしたいと考えているのであれば
「治す」のではなく「癒やす」
まずはこの形を前提として、恋人との付き合い方を考えていく必要があります。
恋人の回避依存症を「癒す」ために、まずは原因を知る
恋人の回避依存症を治したいと考えるのであれば、まずは「回避依存症の原因を知ること」が大切です。
なぜ回避依存症になったのか、原因を知ることで
- 回避行動を取る理由
- 言動の裏にある恋人の思い
- 回避行動をされた時にどう行動すべきか
これらが理解できるようになります。
表面の関係だけを見てしまうと「私は恋人に傷つけられている」という思いだけが先行し、どうしてもお互いに感情的なやり取りになってしまいます。
回避依存症の原因は幼少期にある
回避依存症の要因として考えられているのは、下の2つです。
- 幼少期~成長期の両親とのかかわり合い
- 成長期以後の恋愛や友人関係のトラブル
2つあげましたが、多くの場合、回避依存症の原因は「両親とのかかわり合い」にあります。
以前は、回避依存症の原因は幼少期の「母親」との関係にあると言われていました。
しかし、現在では母親、父親関係なく「両親」とのかかわり合いにあることが分かっています。
回避依存症者の幼少期の家庭環境
回避依存症者の多くは、下のような過程環境で育っています。
- 親の感情や勝手な都合に振り回されで育った(一貫性の無い態度)
- 過保護、過干渉な環境で育った
- 暴力や暴言など、肉体的にも精神的にも痛めつけられる環境で育った
- 幼少期に親との別れ(離別・死別)を経験した
この環境をもとに、回避依存症の特徴とのつながりを解説すると
【過保護や過干渉な親のもとで育った子】
→他人に干渉される、コントロールされることに対し敏感になる。
【親の愛情に振りまわされて育った子供】
→「愛情とは相手の都合によってあったりなかったりするもの」と学ぶ。自分も他人も信頼できない。
【暴力や暴言に痛めつけられて育った子供】
→「暴力や暴言で人は屈服させられる」と勘違いする。人に自分の正しさを押し付けるために、モラハラ気質になる。
回避行動の正体は「無意識のトラウマ回避」である
つまり、回避依存症者が恋人にとる
- 音信不通にする
- 冷たい態度をとる
- 暴言で萎縮させる
これらの回避行動はすべて
親から受けた過去のトラウマから逃げるための無意識的な行動
なのです。
回避依存症者は自分で自分を愛することができません。
自分の内面と向き合うことができないために、回避行動で自分の心を守る。
これこそが「回避依存症」の正体です。
無理に過去と向き合わせても「逃げる」だけ
ここまで
- 回避依存症の原因は、幼少期の家庭環境にあること
- 回避行動は自分の心を守るための行動だということ
この2つを解説しました。
ここまでの内容を読み、このように考えた方もいるかもしれません。
確かにこの考え方も間違いではありません。
ただし、ひとつ忘れてはいけないのは
一般的な家庭の「親」と、回避依存症者の家の「親」はまったくの別物
だということです。
回避依存症者の家庭では、子供に与えられて当たり前の
- 愛情
- 親への信頼感
- 自己肯定感
これらすべてが欠けています。
こうした家庭で育った人に「自分の過去や心としっかり向き合え」といくら叫んだところで、聞く耳は持ちません。
なぜなら、回避依存症者にとって、自分の過去と向き合うということは
トラウマの再体験
にほかならないからです。
むりに過去と向き合わせようとすると?
むりに過去と向き合わせようとするとどうなるか。
答えは明白です。
恋人は
「過去と向き合わず逃げる」
「過去と向き合い、あなたと一緒にいる」
この2つを天秤にかけ、間違いなく「前者」を選び、べつの恋人を探すでしょう。
こうした「一方的な正論」は回避依存症者にとって効果的どころか、ふたりの関係を終わらせることにつながります。
恋人を「癒す」方法、安心感を与えて回避行動を減らしていく
回避依存症は「治す」ではなく「癒やす」が大切だと冒頭でお伝えしました。
実はこれ、言うのは簡単ですが、実際に行うとなるとすごく難しいのです。
というのも、回避依存症の恋人を持つ方の多くが
- 共依存傾向にあること
- 無意識に恋人のトラウマや不安を刺激していること
- 回避依存症についての知識が足りないこと
このような状況なため、付き合えば付き合うほど関係は悪化していきます。
回避依存症の恋人を「癒やす」ために前提となるのは以下の2点。
- 彼に依存しない自立した女性であること
- 彼に安心してもらえる存在であること
この2つを実践するための方法は、以下の記事にて詳しく解説しています。
【おすすめ記事】回避依存症の彼との幸せな関係の作り方自力で「回避依存症」を克服したいあなたへ【元・回避依存症者が解説】
ここまでの内容は、「回避依存症の恋人に悩む人」向けの内容でした。
ここからは「自分自身の回避依存症を治したい」方に向けてお話します。
まずはじめに、元回避依存症者としてあなたにお伝えしたいのは
多少苦しい思いはするが、回避依存症は絶対に克服すべき
ということです。
回避依存症のままでいると、あなたは生涯「お互いを傷つけあう苦しい恋愛」をくり返すことになります。
回避依存症の克服は決して簡単ではありませんが、この記事では3つの手順に分けて克服方法を解説します。
回避依存症を克服するための3つの手順
自力で回避依存症を克服するには、以下の3つの手順を踏む必要があります。
- 回避依存症をただしく理解すること
- これまでの自分の問題行動(回避行動)を認めること
- 自己肯定感を高めて人に依存しない生き方を心がけること
この3つの手順を順にこなすことで、回避依存症はかなりの確率で改善することができます。
手順を一つずつ丁寧に解説していきます。
手順①:「回避依存症」を正しく理解すること
回避依存症の克服のためにまずやるべきことは
「回避依存症」を正しく理解することです。
このブログでは
この3つを軸に、読者の方が理解しやすいよう、噛みくだいて回避依存症を解説しています。
「回避依存症の恋人を持つ方」に向けて書いた内容がほとんどですが、逆の立場からみることで、いろいろな気づきがあるでしょう。
手順②:これまでの自分の問題行動(回避行動)を認めること
このブログや書籍の情報にふれていく中で
「自分がなぜこういう人間になったのか」
「なぜいつも同じような恋愛ばかりしていたのか」
「過去の交際相手のなにが嫌だったのか」
など、過去の自分をふり返り、色々と納得する部分がでてくるでしょう。
回避依存症を克服する手順の2つ目は
- 自分が回避依存症であること
- これまで恋人や友人を傷つけてきたこと
- 人に自分の問題の責任を押しつけてきたこと
この3点をはっきりと自分の中で認めることです。
「はっきり」というのが大切で、少しでも他責思考が残っているうちは回避依存症は克服できません。
- 自分の心の弱さ
- 見捨てられ不安
- 他人への依存心
これら全てを認め、自分を変えるつよい心を持つことは決して簡単ではありません。
コツは「自分自身」に問題があると考えるのではなく、環境によって作られた「回避依存症」に問題があると考えることです。
手順③:自己肯定感を高めて人に依存しない生き方を心がける
回避依存症を理解し、自身の過去の行動を振り返ったことで
「今日から回避依存症の行動を抑える努力をしよう」
とあなたは決意するかもしれません。
ですが、決意をしただけではすぐに元通りになってしまいます。
それほどまでにあなたは「大きなトラウマ」を抱えているのです。
そして、回避依存症を克服する上でいちばん大きな問題は
「自分で自分の認められないことによる、人への依存心」
です。
この問題を解決しない限り、たとえ回避依存症を頭で理解できたとしても、行動そのものを変えることができないでしょう。
少しづつ「自己肯定感」を高める
人への依存心を減らすために、大切なのは「自己肯定感」を高めること。
そして、自己肯定感を一人で高める手軽な方法は「なにか新しい小さな目標を決め、それを達成すること」です。
など、目標は本当になんでも構いません。
この時、目標を大きくし過ぎると達成できなかった時に余計に自己肯定感を失います。
なので、まずは自分ができる範囲の小さな目標から始めましょう。
どんなに小さな目標でも成功体験は必ず自信になり、自己肯定感が高まります。
大切なのは自分自身に十分な力、価値があることを認識することです。
メンタルが安定した友人の大切さ
とはいえ、ひとりで自己肯定感を上げるのも簡単ではありません。
そこで「自己肯定感を高める方法」でもっとも効果的な方法をお伝えします。
それは
「メンタルが安定した人との交流」
です。
つまり、
人と安定した交友関係を築ける人や、お手本となる人と接することで自分の考えを見直していく方法ですね。
これは恋人関係でなく、同性の知人でも構いません。
回避依存症の人は、どうしてもその性格から
- 自分の役に立ちそうな人
- 自分のいうことを聞いてくれる人
- 自分に厳しいことを言わない人
このように、かたよった人間関係を作りがちですが、メンタルが安定した人と交流することで
「素の自分を出しても、みんな普通に受け入れてくれる」
ということが少しづつ理解できるはずです。
「人なんて誰も信用できない」と最初から関係を断たず、新しい交友関係を自分から作りましょう。
間違った回避依存症の克服方法
以前、ネット記事で読んだ回避依存症の克服方法として
「自分が回避依存症であることを認め、恋人に本音をさらけ出す」
こうした方法が紹介されていました。
ですが、これは克服方法として間違っています。
回避依存症の経験や知識がないライターが憶測で書いた内容でしょう。
仮に本音をさらけ出すことができたとしても、受け入れてもらえるかどうかは「運」です。
回避依存症を認めることは大切ですが、それは克服の過程の一部でしかありません。
恋人が「回避依存症」を受け入れてくれたとしても、本人に変わる決意がなければ、現状はなにも変わらないのです。
今現在、恋人がいるあなたへ
正直にお伝えすると、恋人がいる状態での回避依存症の克服は簡単ではありません。
なぜなら、付き合った時点ではあなたはまだ回避依存症。
彼女もおそらく「恋愛依存傾向」の持ち主ではないでしょうか。
この場合、相手に悪気がなくても、恋人はあなたのトラウマを定期的に刺激してきます。
いちばん良いのは、いったん距離を置くか分かれることですが、それも簡単ではないでしょう。
このように現在進行形で恋人がいる方に向けて、私の経験から
回避行動を抑えるための考え方
についてお話しします。
相手から離れたいと思ってしまう、自分を客観視する
もしあなたが今、好きだったはずの恋人と離れたいと感じているならば、一旦立ち止まって考えて下さい。
こうした行動を取って逃げるのは簡単ですが、その前になぜ
「自分はこうした気持ちになるのか?」
を自問自答してみて下さい。
この作業は自分の過去と向き合う作業なので、一度や二度では上手くいかないと思います。
ですが、あなた自身、本当は恋人を必要としているのではないでしょうか?
一度好きになった人をあやふやな気持ちで手放すことを、まずは止めましょう。
恋人を批判したくなる気持ちを抑える
回避依存症のあなたは、恋愛初期の居心地のいい時間が大好きでしょう。
ですが、時間が経つにつれて、恋人の嫌なところばかりが目につくなるようになります。
そして、嫌なところが目に付けばつくほど、あなたは無意識に恋人をとおざけようとします。
しかし、自分の内面と向き合わず、相手の表面的なところだけをみて
とはなれても、結局のところ、あなたはまた別の異性で同じことをくり返すだけです。
また、あなたは心のどこかで
と考えているかもしれませんが、そんな都合の良い人は決して現れません。
あなたが自分の内面と向き合い、恋人への批判をやめない限り「運命の人」が現れることはないのです。
もしいまあなたに恋人がいるのであれば
- 相手があなたを信頼していること
- あなたのために色々考えてくれていること
- あなたのためにたくさんの我慢をしていること
こうした恋人の気持ちに対して、素直に感謝の心を持つようにしましょう。
この記事のまとめ
- 回避依存症を「治す」ことはできない。一緒にいて安心できる関係を作れてはじめて、恋人の「回避行動」が減っていく。
- 回避依存症者にむりに回避行動を改善させようとすると、ほぼ確実に関係は破綻する。
- 回避依存症を自ら自覚したのであれば克服は可能。ただし克服はつらく、時間もかかる。だがやる価値は十分にあり。
今回は「回避依存症を克服する方法」について解説しました。
この記事が少しでもあなたの助けになれば嬉しいです。
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