「恋愛依存」をやめたいと思っているのに、いつも同じような恋愛をして苦しんでいます。恋愛依存から抜け出す方法を教えてください。
この記事ではこんな疑問を解決します。
しん | 心理カウンセラー
心理カウンセラー。過去のカウンセリング実績500件以上。毒親育ち。自身の恋愛依存症・回避依存症の経験を活かし、「読者の悩みの根本的な解決」を目指し発信しています。
- 自身の「不安」や「悩み」と向き合うことの重要性
- 恋愛依存症を抜け出すには「付き合う人」が大切
- 「根拠のない不安」を無くすための考え方
先日、こんなツイートをしました。
「恋愛依存」をやめたいと思っているのに、いつも同じような恋愛をしてしまう。
楽しいのは最初だけ、付き合いが長くなればなるほど辛い思いをしてばかり。
今回はこのような「恋愛依存をやめたいのにやめられない」方向けの内容です。
あなたは当てはまる?「恋愛依存症」の特徴
そもそも「恋愛依存症」とはどのような状態のことを言うのでしょうか?
これまでの私のカウンセリング経験から、恋愛依存症に当てはまる特徴を10個ピックアップしました。
- 常に誰かに愛されていないと不安になる
- なんでも恋人の好みに合わせてしまう
- 恋人が自分から離れていかないかと不安になる
- 恋人を支えられるのは自分だけであって欲しいと思う
- 恋人が自分の知らない友達と過ごしていると不安になる
- 恋人が今なにをしているのか四六時中考えてしまう
- 恋人に必要としてもらえると心が軽くなる
- 一人で過ごしていても恋人のことばかり考えてしまう
- 家族や友達より恋人を優先してしまう
- ドラマや漫画のような恋愛に憧れがある
半分以上当てはまるのであれば、あなたは「恋愛依存症」の可能性があります。
恋愛依存症の原因は「見捨てられ不安」にある
さて、ではなぜあなたは普通の人のように落ち着いた恋愛ができないのか。
その理由はあなたの「見捨てられ不安」にあります。
見捨てられ不安、つまり大好きな恋人が予期せず自分のもとを離れていってしまう恐怖ですね。
「恋人に離れて行かれたくない」という思いは、恋人同士であれば誰もが持つ感情です。
しかし、恋愛依存症の問題はその思いが強すぎることにあります。
だからこそ少しでも恋人が離れて行ってしまう素振りをみせると
- 別れないようにお願いする
- 不安が解消されるまで、しつこくなんども連絡する
- 感情的にまくし立てる
- その他のことがなにも手につかなくなる
- あえて恋人をブロックしたり、別れ話で繋ぎ止めようとする
こうした極端な対応になってしまうのです。
この見捨てられ不安の原因として、もっとも多いのが「小さな頃の愛情不足」です。
特に下のような家庭環境で育った方は、見捨てられ不安を抱えやすい傾向にあります。
- 親があなたに対して日常的に暴言を吐いていた
- 肉体的な暴力があった
- 親が気分によって子供への接し方を変えていた
- 兄弟の世話や家事など、親の代わりをさせられていた
- 過干渉や過保護な親で「あなたらしさ」が認められない環境だった
- 親がアルコール依存症やギャンブル依存症だった
- 両親の離婚や別居を経験した
こうした家庭環境で育った子供は、これからの人間関係の基本となる
- 「愛情」
- 「信頼」
- 「自己肯定感」
がないまま成長します。
このように、小さな頃に親に与えてもらえなかった感情を、大人になっても追い求めてしまうのが「恋愛依存症」の本質です。
恋愛依存症者は実は「恋愛」をしていない
これまでのカウンセリング経験を通し、私が行き着いた答えのひとつに
恋愛依存症の「恋愛」は、実は「恋愛」ではない
があります。
少し分かりづらいと思うので、もう少し踏みこんで説明しますね。
つまり、恋愛依存症者が恋人に求めている
- 「愛されたい」
- 「認められたい」
- 「受け入れられたい」
こうした欲求ですが、私が考えるにこれらは「恋愛感情」とは全く別の感情だということです。
ですが、現実的に恋愛依存症の人が自分の気持ちが「愛情」なのか「依存」なのかを自力で判断するのは難しいでしょう。
ではここで一度、一般的な恋愛に置きかえて考えてみましょう。
一般的な恋愛であれば、一つの恋愛が終わった時
- 「今回の恋愛の反省点は?」
- 「相手と上手くいかなかった原因は?」
- 「これからどうすればもっといい人と出会えるだろう?」
など「次はもっと良い恋愛をしよう!」とあれこれ考えるのが普通です。
しかし、恋愛依存症者はこのようには考えません。
恋愛依存症者が恋人とと離れ、一番に考えるのは
「早くまた代わりに依存できる人を見つけないと…」
なのです。
恋人との関係にほころびが見えた段階で、別の人を探したくなるのは「認めてくれる人がいなくなる」という不安が根底にあるからですね。
つまり、一つの恋愛で精神的な成長が得られていません。
別れたとしてもお互いに成長できるのが「恋愛」だとするならば、恋愛依存症者は「恋愛」をしていないと言えます。
恋愛依存症者が「共依存」にハマる理由
恋愛依存症者は恋人に、自分と似たタイプの人を選ぶ傾向にあります。
- メンタルが不安定な人
- 寂しがり屋な人
- 繊細な人
- 自立心が低い人
- DVや暴力を振るう人
具体的にはこうした特徴を持つ方で、一般的には好ましいとされません。
ではなぜ、恋愛依存症者はこうした問題を抱えている人を、あえて恋人に選ぶのでしょうか?
それに恋愛依存症者の「自己肯定感」が強く関係しています。
自己肯定感が低いと「自分で自分のことを認められない」ので、他人に認めてもらうことでしか、自分の存在価値を証明できません。
つまり恋愛依存症者にとって
- 恋人から求められること
- 恋人を助けること
- 恋人に支配されること
これらはすべて自分の欲求を満たすため、もっと言えば傷ついた心を守るための行動なのです。
そして恋愛依存症者が自分と似たタイプの人を選んでしまうのは、お互いにお互いを求める関係が一番安心できると、経験から知っているからです。
この状態を「共依存」と呼びます。
ですが実際のところ、共依存の関係は長続きしません。
なぜならお互いに
- 「愛されたい」
- 「認められたい」
- 「受け入れられたい」
こうした欲求を恋人で埋めようとするため、どうしても自分中心の行動や考え方になり、時間の経過とともに、片方に負担が寄ってしまうからです。
つまり、依存する側とされる側ということですね。
それでも共依存の関係が短期で終わらず、関係をずるずると続けてしまうのは
「この人は自分を満たしてくれた」
という思いが強く心に刻まれてしまうからです。
一時的にとはいえ、心が満たされると、その気持ちをバッサリ切り捨てることが難しくなります。
恋愛依存症者は「回避依存症」のターゲットになりやすい
あなたは「回避依存症」という言葉を聞いたことがありますか?
回避依存症を一言で説明すると「関係が深まるにつれて距離をおく人」になります。
回避依存症者も恋愛依存症者と同じく
- 「愛されたい」
- 「認められたい」
- 「心を通わせたい」
こうした思いを抱いているのですが、実際に関係が深くなると、その関係から逃げ出します。
回避依存症も恋愛依存症と同じく、小さな頃のトラウマが原因になります。
回避依存症にはいくつかのタイプがあり、タイプごとに性格や特徴は変わりますが「見捨てられ不安」が非常に強いことは全てのタイプに共通する特徴です。
回避依存症について更に詳しく知りたい方は、下の記事を参考にして下さい。
関連記事:『回避依存症』って?原因や特徴・4つのタイプ・改善方法まで【元・回避依存症者が徹底解説します】つらい恋愛依存症から抜けだすには?
ここからは実際に恋愛依存症から抜け出す方法についてお話します。
恋愛依存症から抜け出すために大切なポイントとなるのは下の3点です。
- 恋愛依存症を認めること
- あなたを大切にしてくれる人と付き合うこと
- 「根拠のない不安」に怯えないこと
この3つについて順に解説していきます。
1. 恋愛依存症を認めること
ここでいう恋愛依存症を認めるとは、単に自分を正当化させる意味ではなく
- 「不安定な愛情にしがみついていたこと」
- 「恋人に傷つけられ、時には傷つけていたこと」
- 「自分を変えようとせず、依存恋愛に逃げつづけていたこと」
あなたがこうした問題を抱えていたことを、きちんと認識するためのステップになります。
なぜこの過程が大切なのか、それは自身の恋愛依存症を認めることで、これらの問題を「自分の責任」と考えられるようになるからです。
これはもちろん「あなたが悪い!」とか「病気だ!」と言っているのではありません。
- 「これまでつらい恋愛をしていたのは、相手が悪いからではない」
- 「そういう相手を選んでいた自分に弱さがあったからだ」
- 「これから先、自分を幸せにできるのは自分だけだ」
このように、自分の意識を変えることができるようになります。
過去の出来事に対して「自分にも責任があった」と認めることで、現状を変えられる強さを「あなた自身」が持ち合わせていることに気がつけます。
自分の人生や行動に責任が持てるようになると
- 「これまで自分は辛い思いをした」
- 「もう二度と同じ恋愛を繰り返したくない」
- 「もっとお互いに信頼を持てる関係を作れるはず」
といったポジティブな感情が自然に湧くようになります。
「自分に責任を持つということは、自分の行動次第でいくらでも現状を変えられること」
「恋愛依存症を認める」と聞くと大したことのない作業に思えてしまうかもしれません。
ですが、恋愛依存症を抜け出すにあたって「自分主体」になれるかどうかは、とても大切なポイントです。
まずは自分の内面と向き合うことが、恋愛依存症から抜け出す一歩になります。
2. あなたを大切にしてくれる人と付き合うこと
恋愛依存症を抜け出すため
もしあなたが今「恋愛依存をやめたい」と考えているのであれば
「あなたを大切にしてくれる人とだけ付き合う」
この考えも非常に重要です。
「あなたを大切にしてくれる人」の範囲は恋人に限らず、親や友人、あなたに関わる人全てに当てはまります。
ではなぜ「あなたを大切にしてくれる人」が恋愛依存をやめるにあたって大切なのでしょうか?
この答えは
大切にされることで、あなた本来の価値や自己肯定感が高まるから
です。
恋愛依存症者の多くは「自分には価値がない」と考えています。
自分の価値を無理に見出そうとするために、恋愛相手に間違った相手を選んでしまうのです。
依存関係では、お互いに「価値」や「自信」を与えあう関係にはなりません。
では、あなたを大切にしてくれる人。
すなわち、恋愛依存症ではないメンタルが安定している人はどのようにあなたを扱うのでしょう。
一例を下に書きます。
- あなたに至らない点があったとしても、一人の人間として尊敬する
- あなたを頭ごなしには否定しない、素の自分を出せるよう配慮してくれる
- 他人ではなく、あなたの意見を大切にし受け止める
共依存の関係では決してこうはなりません。
なぜならお互いに「自分の欲求が満たされるかどうか」が最重要になっているからです。
ではなぜ、メンタルが安定している人はこのような行動が取れるのでしょうか。
答えは
その人自身が、大切にしてもらえる環境で育ったから
あまりにシンプルですが、これが答えです。
「自信」や「自己肯定感」は身につけようと思って身につくものではなく、いつも大切にしてもらえる環境で育ったからこそ、自然に身についたものです。
だからこそ、もしあなたが「自分には価値がない」と思っているなら、選ぶべきは「同じ苦しみや悩みを持つ人」ではなく、「本心からあなたを大切にしてくれる人」になります。
自分を傷つける人と一緒にいても、あなたの「自信」や「自己肯定感」は下がるばかりで、恋愛依存症をより強めてしまうでしょう。
3. 「根拠のない不安」に怯えない
恋愛依存症者が抱える問題の一つに
「根拠のない不安」
があります。
根拠のない不安とは
- 「デートの誘いを断られた、もう嫌われたのかもしれない」
- 「最近返信が遅い、浮気をしているのかも」
- 「自分なんかがいつまでも愛される訳がない」
こうした、いわば「悪い思い込み」です。
この根拠のない不安を感じてしまう原因は「自己肯定感の低さ」にあります。
ではなぜ自己肯定感が低いと「根拠のない不安」を感じ感じやすくなってしまうのでしょうか。
ここでは「ある日突然、恋人からの連絡がなくなった」という例を元に解説していきます。
まず恋愛依存症の人の場合、下のような行動を取ります。
- 返信がくるまで連絡をし続ける
- 自分のことが嫌いになったのか問い詰める
- 「嫌いなら別れる」などの試し行動を取る
もしかすると、あなたもこのような行動を取ったことがあるかもしれませんね。
「根拠のない不安」を解消したいと思うあまり、自分の気持ちだけが優先されている状態です。
では逆に「自己肯定感」がある人はこのような場合に、どう考えるのでしょうか?
- たまたま忙しいのかもしれない、と考える
- 恋人のことは忘れ、自分のことに集中する
- 相手を信じてただ連絡を待つ
まず大前提として、恋愛依存症の人と大きく違うのは
「連絡がない」=「嫌われた」
とは考えないことです。
- 恋人を疑わず、率直になにがあったかを尋ねられる
- 「自分は愛されている」という自信と信頼がある
- 自分の幸せの全てを恋人に預けていない
自分の価値を恋人に預けていないので、恋人から少し連絡が無かったとしても、決して取り乱したりはしません。
結果として、恋人も負担を感じることが少ないので、安定した関係を築くことができます。
つまり、自己肯定感の高い人は自然と「相手の立場になって考えられる」ということですね。
メンタルが安定した人と交際し、自己肯定感を高めていくことで、自然と「根拠のない不安」を感じることも減るでしょう。
恋人への正しい「依存」を身につける
ただし、あなたに勘違いして欲しくないのは「恋人への依存の全てが悪ではない」ということです。
ここでは「良い依存」と「悪い依存」の違いについて解説します。
ではまず良い依存から。
- 大前提として自分が主体、自立している
- 恋人の立場や気持ちを思いやれる
- 困った時はお互いに助け合える
良い依存はあくまで「自分が主体」です。
恋人に依存する部分と、自分で解決すべき部分の区別が明確になっているので、必要以上に恋人の負担になることをしません。
「良い依存」を言い換えるとするならば
「自らの責任を果たした上で、困った時は素直に恋人に頼ることができる」
このようにまとめることができます。
一方の「悪い依存」についてですが
- 恋人が主体、自らの努力や責任を放棄する
- 恋人がいないと、まともな日常生活が送れなくなる
- 不安や無価値感にとらわれ、恋人にしがみつく
自分ではなく、恋人が自分を救ってくれることに期待しています。
つまり
「恋人に自分の責任を全て押し付けることで、自分の不安や問題を解消しようとする」
これが「悪い依存」になります。
全て恋人任せなので、恋人を失うと「自分が自分でいられなくなるような感覚」に陥ります。
一時的な解決方法に惑わされない
恋愛依存症の根本的な原因は
「小さな頃の満たされなかった心」
にあると解説しました。
ですが、恋愛依存を克服する方法として世の中で取り上げられているのは
- 「恋人を忘れて仕事や勉強に集中しよう」
- 「新しい趣味を見つけよう」
- 「友達との時間を大切にしよう」
こうした表面的な方法です。
確かに一時的な対処方法としては間違っていないのかもしれません。ですが、このような方法をいくら続けても、恋愛依存症からは抜け出すことはできません。
なぜなら、あなたの心の中にある
- 自己否定感
- 愛情不足
- 過去のトラウマ
こうした負の感情は、依然としてくすぶり続けているからです。
自分の力だけで「恋愛依存症」から抜け出すには
この記事でお話した「恋愛依存症から抜け出す方法」の一番のポイントは「メンタルが安定した人を恋人に選ぶ」という、いわば相手ありきの方法です。
では、恋愛依存症を自分の力だけで抜け出すのは無理なのか、という話になりますが、決してそうではありません。
もちろん、自分の力だけで恋愛依存症を克服することは可能です。
- 今は恋人を見つける時間がない方
- 自分のためにも一人で頑張ってみたい方
- 今度こそ自分を変えて自信をつけたい方
具体的な方法については下の記事で詳しく解説しているので、ぜひ参考にして下さい。
>>関連記事:恋愛依存症を克服する方法とは?【本質へのアプローチが大切】記事のまとめ
- 恋愛依存症から抜け出すにはまずは認めること。自分が抱えている不安や悩みから目を背けず、自分を変える決心をすることから始まる。
- 「付き合う相手」を選ぶことが大切。優しい言葉をかけてくれるだけの表面的な相手に依存せず、真にあなたを大切にしてくれる人と交際する。
- 自分の気持ちを隠したりしない「良い依存」を身につけること。素直に自己開示が出来る関係は、それだけであなたの自己肯定感を高める。
共依存の恋愛にも確かに幸せな時間はあるかもしれません。
ですが、お互いにお互いを傷つけ合うような関係を続けていても、あとに残るのは辛さだけです。
たとえあなたが「彼だけが自分の気持ちを分かってくれている!」と感じたとしても
「分かってくれること」
「傷ついた心を癒やしてもらえること」
この2つは全く別の話なのです。
このブログでは、恋愛依存症、回避依存症の恋愛について深く解説しています。ぜひ他の記事にも目を通してみて下さいね。
>>関連記事:恋愛依存症を克服する方法とは?【本質へのアプローチが大切】