最近「回避型」という言葉を初めて知りました。もしかすると私の恋人も回避型なのかもしれません。回避型について詳しく知りたいです。
この記事ではこんな疑問を解説します。
- 回避型の人は幼少期のトラウマや不安から他人と関係を深めることをを避ける。
- 一貫した態度と行動を心がけることで、少しずつ信頼が深まる。
- 自分自身を大切にし、相手に依存しないことでバランスの取れた関係が維持できる。
回避型愛着スタイルを持つ相手との関係は、家族や友人、同僚においても難しさを感じるものです。
回避型の人々は、親密さを避ける傾向があるため、距離を保ちながら関係を築くことが求められます。
今回は「回避型愛着スタイル」について詳しく解説していきます。
愛着スタイルとは?
回避型愛着スタイルを解説する前に、そもそも「愛着スタイル」とはなにかについて解説します。
愛着スタイルの元となる「愛着理論」は、イギリスの心理学者ジョン・ボウルビィによって提唱されました。
この理論を一言で説明すると
幼少期に養育者との関係がその後の対人関係や恋愛にどのような影響を与えるか
になります。
たとえば、両親との関係が安定していた場合、両親を信頼できる子どもは他人も信頼でき、自立した大人へと成長します。
しかし、養育者との関係が不安定だった場合、子どもは「不安感」を抱えたり、この記事で解説するように、他人との距離を避ける「回避傾向」を持つようになります。
愛着スタイルは大人になっても強い影響力を持ち続け、恋愛や友情といった人間関係に影響を与えます。
愛着スタイルの分類
この「愛着スタイル」は、以下の2つに大きく分けられます。
- 安定型
- 不安定型
順に解説していきます。
安定型
安定型の人は、幼少期に両親からの愛情を受け、「一貫した信頼関係」を築くことができた人です。
安定型の人は他人を信頼し、安心して深い関係を築くことができます。
自立心が強く、他者と健全な依存関係を保つことができるため、恋愛や対人関係においても安定した行動を取ることができます。
不安定型
一方で、不安定型の愛着スタイルを持つ人は、幼少期に一貫性のない愛情を受けたことが原因で、不安や恐れを感じやすい傾向があります。
この不安定型は、さらに3つのタイプに分類されます。
- 不安型: 他者からの承認や愛情を強く求め、常に見捨てられることを恐れる。
- 回避型: 他者との親密な関係を避け、感情的な距離を取ろうとする。
- 恐れ・回避型: 他者との関係を望みながらも、強い恐怖心からそれを避けようとする複雑な心理を持つ。
また不安定型愛着スタイルでは、不安型は「恋愛依存症」に似た特徴を持ち、恐れ・回避型は「回避依存症」と同様の傾向が見られます。
回避型愛着スタイルとは?
ではここからは回避型愛着スタイルについてお話します。
回避型愛着スタイルの特徴を簡単に説明すると
他人との親密さを避ける傾向がある一方で、根本的には強い愛情を求めている人
になるでしょう。
強い愛情を求めながらも、その愛情を実際に表に出すことが難しく、過去のトラウマや不安によって自分の中で抑え込んでしまうのです。
そして、その心理的な背景には主に3つの特徴が隠されています。
- 感情の抑圧
- 自立へのこだわり
- 親密さへの不安
これらについて順に解説していきます。
感情の抑圧
回避型の人は、たとえ自分の感情を認識していたとしても、それを他人に伝えるのを避ける傾向があります。
なぜなら、感情を表に出すことで傷つくことを恐れているから。
その結果、感情を表現しようとしても、無意識に心の中でブレーキがかかってしまうのです。
感情を言葉にしようとしても、うまく言い表せないことがあり、そういった場面では
「自分でもなぜそう感じるのか」
がはっきりしません。
まるで頭と喉にモヤがかかったような状態です。
このため、感情的な会話を避ける場面がどうしても増え、他人と感情の共有を避ける傾向が強くなります。
自立へのこだわり
回避型の人は自立していることを非常に重視し、他者に依存することを弱さと感じることがあります。
特に恋愛関係において、過度な依存を避けようとするため、物理的にも感情的にも恋人と距離を保つようになります。
さらに、回避型の人は「自分に依存する人」を苦手とするため、パートナーにも同様に自立を求める傾向があります。
これは、自分自身の自立性を維持しようとする「自己防衛的な行動の一部」です。
親密さへの不安
親密な状況に直面すると、回避型の人は突然距離を置いたり、無口になったり、時には無関心を装うことがあります。
これもまた、親密さが生む不安を和らげるための自己防衛反応です。
ですが、結果として恋人に対し
- 冷たく振る舞う
- 突き放す
- 無視する
こうした行動を取ることが増え、相手に混乱を与えます。
また、人からは
- 「気分屋な人」
- 「わがままな人」
- 「協調性のない人」
と受け止められてしまうこともあります。
しかし、これらの行動は本来の意図ではなく、あくまで彼らの不安感に基づく行動の結果なのです。
回避型が「親密さ」を避ける理由
回避型愛着スタイルを持つ人が親密さを避ける理由は、他の不安定型(不安型、恐れ/回避型)と同様、
幼少期に親や養育者から十分な愛情を得られなかった
ことが大きな原因として挙げられます。
親を信頼できなかったり、親に傷つけられた背景から彼らは
「親密さ=危険」
という思い込みを形成したのです。
もう一つ例を挙げます。
さらに、幼少期や過去の恋愛経験で信頼していた相手に「裏切られた経験」がある場合、余計に愛情や親密さを信じることが難しくなります。
回避型愛着スタイルが恋愛に与える影響
回避型愛着スタイルが恋愛に与える最も大きな影響のひとつは「コミュニケーションの不足」です。
感情を表現することが苦手な回避型の人は、恋人に対して自分の気持ちを十分に伝えることができません。
その結果、誤解やすれ違いが頻繁に起こり、関係が不安定になりがちになります。
また、回避型の人は恋愛関係においても恋人と感情的な距離を保とうとするため、恋人側からすると
- 「冷たい」
- 「拒絶された」
と感じるような経験がどうしても増えます。
当然、愛されていないと感じやすくなることで、ふたりの信頼関係に対する不安は増大します。
さらに、長期的に交際を続けていても、感情的なやり取りが少ないために、関係がなかなか深まらないという問題も見過ごせません。
特に、同棲や結婚など人生が大きく動くタイミングにおいて、回避型の人は消極的な姿勢を見せることが多く、関係の進展が遅れることがあります。
「近づきたいけど、逃げたい」回避型特有の恋愛パターン
誤解されがちですが、回避型の人は完全に相手から離れることを望んでいるわけではありません。
そのため、物理的に距離を取ったり、連絡を絶ったりしながらも、定期的に連絡を再開するなど「あいまいな関係」を続けがちです。
言葉が似ている「恐れ・回避型」との一番大きな違いは、回避型の人は相手に「依存しない」ということになるでしょう。
恐れ・回避型の人は関係を戻す際に情熱的なアピールを行いますが、回避型の人は「ただ何も言わず戻る」といったイメージです。
また、回避型の人は恋人からの愛情や親密さを求めつつも、実際にそれが与えられると「強い恐怖」を感じます。
例えば
- 「愛している」
- 「ずっと一緒にいたい」
などといった言葉は回避型の人には禁句で、相手の心の準備ができていなかった場合、逃げ出したいという衝動に駆られます。
そしてこれらは、恋人が結婚や将来の話をした際に急に冷たくなったり、距離を置く理由のひとつでもあります。
彼らは、親密さに対する恐れから、強いプレッシャーを感じ取り、自己防衛として距離を取るのです。
回避型の恋人との付き合い方:距離を保ちながら仲を深めるには
回避型の恋人と良好な関係を築くためには、いくつかのコツがあります。
特に大切なのは、以下の3つのポイントです。
- 彼の距離感を尊重してあげること
- 一貫性のある態度を心がけること
- 感情的に自立すること
これらを順に解説していきます。
彼の距離感を尊重してあげること
回避型の恋人には、無理に親密さを要求しないことが非常に大切です。
例えば無理に「好き」と言わせようとしたり、愛情を試すようなことは逆効果になります。
彼らが安心できる距離感を尊重し、過度に踏み込みすぎないように心がけることが重要です。
回避型の恋人がプレッシャーを感じないような距離感を見極め、適切な距離を保てば、関係はスムーズに進展するでしょう。
一貫性のある態度を心がけること
回避型の人は、不安や疑念を抱きやすいため、一貫性のある態度や行動が取れるかは非常に重要です。
- 約束を破る
- 言うことを頻繁に変える
- 気分次第で態度を変える
これらは絶対に避けなければなりません。
いつも同じ態度で接することで、回避型の恋人も少しずつ信頼感を持てるようになり、安心して関係を築けるようになります。
信頼は時間をかけて築かれるもの、焦らずに一貫した行動を続けることが大切です。
感情的に自立すること
最後に回避型の恋人との関係で最も重要なのは、感情的に自立することです。
回避型の人は、相手に依存されることを避けます。
ですので、自分の生活や趣味を大切にし、相手に依存しすぎないことでバランスの取れた関係を築くことができます。
また、感情を伝えることも大切ですが
「一生一緒にいようね」
といった過度に感情的な表現や重い言葉は避けるのが無難です。
回避型の人に対しては、冷静かつシンプルに自分の気持ちを伝えることが効果的で、例えば
といった日常的な感謝の気持ちを伝えることで、相手に負担をかけずに気持ちを共有できます。
最後に、回避型のパートナーと付き合う際には「自分自身を犠牲にしすぎない」ことも非常に重要です。
自分の時間や価値観を大切にすることで、結果的に感情的なバランスを保てるようになり、良好な関係を築くことができます。
この記事のまとめ
- 相手のペースを尊重しながら、感情的な負担をかけないことが関係構築に効果的。
- 一貫した言動が回避型パートナーとの信頼関係を築く基礎となる。
- 自分の生活を充実させ、依存を避けることで健全な関係を保てるようになる。
回避型のパートナーと健全な関係を築くには、時間をかけて信頼を深め、自分自身も大切にしながら接することが大切です。
焦らず、相手のペースに寄り添いながら、お互いに無理のない距離感を保ち、バランスの取れた関係を築いていきましょう。
【関連記事】「回避型愛着スタイル」と「回避依存症」の違いについてTwitter(@psynote__)もやっています!この記事が役に立ったという方はぜひフォローして頂けると嬉しいです。