人への依存心が強くて自分が嫌になります。こんな自分を変えるにはどうすればいいのでしょうか?依存の止め方を教えて下さい。
この記事ではこんな疑問を解説します。
- 依存心は心の不安や孤独感から生まれ、他者に過剰に頼りすぎることで関係を大きく歪ませる。
- 「相互依存」に取り組み、他者と支え合うことで自立心を高めていくことが重要。
- 自立するためには、一人に頼るのではなく「複数の信頼できる人間関係」を築くことが大切。
「依存」という言葉にはネガティブな印象があるかもしれませんが、すべての依存が悪いわけではありません。
私たちが生きていく上で、誰かに頼ることは自然なことであり、むしろ健全な関係を築くために必要なことです。
この記事では依存の本質と、依存心をコントロールして自立を促す「相互依存」の考え方について解説していきます。
依存の本質は「甘え」にある:なぜ私たちは依存してしまうのか?
そもそも「依存」とはなんでしょうか?
私はこう考えています。
依存とは「甘え」が過度に強調されることで、特定の人や物に過剰に頼る状態のこと
つまり「自分自身の感情や行動を他人に委ねすぎている状態」です。
では、甘えは悪いことなのでしょうか?断言しますが、もちろんそんなことはありません。
甘えには人との絆を強める効果があり、また、人が安心感を得るための自然な手段でもあります。
誰しも、孤独や不安を感じたときに誰かに支えを求めるのは当然のこと。
大切なのは
その甘えがどのような形で行われるか、そしてそのバランスが保たれているか
という点です。
「甘え」が「依存」になる時
私が思うに甘えというのは
「相互に頼り頼られる関係」
だからこそ成り立つものです。
お互いに支え合い、助け合うことで信頼関係が深まるもので、どちらか一方が過度な負担を背負うべきはありません。
これが、健全な「甘え」の在り方です。
しかし、どちらか一方が
- 自己肯定感が低い
- 自立心が育っていない
このようなケースの場合、甘えは過剰になり「依存」に変わります。
大切なことなのでくり返しますが、甘えは本来、対等な人間関係の中で機能します。
しかし、その関係が一方通行になってしまった場合、その時「甘え」は「依存」へと変わります。
つまり、相手のサポートがなければ自分が成り立たないような状況ですね。
私はここに甘えと依存の大きな違いがあると感じています。
- 甘え:他者に相談したり、手助けを求めたりして互いに支え合う関係
- 依存:すべてを相手に委ね、相手に過度な負担をかける状態
私がここで特に強調したいのは
依存は相手が一方的に助けるだけの関係
だということです。
結果として、相手にとって大きな負担やストレスがのしかかり、信頼関係が徐々に崩れてしまいます。
私はこの「信頼関係の崩壊」こそ依存の最も危険な特徴だと考えています。
依存心の原因とは?心の不安と両親との関係が与える影響
依存心は多くの場合、心の不安や孤独感が引き金となって現れます。
そして人は誰しも日々の生活の中で、安心感や安定を求めます。
この安心感や安定が満たされないことで、人は無意識のうちに他者に頼る傾向が強くなり、それが依存心に繋がってしまうのです。
では、その依存心がどのように生まれるのか、その原因をもう少し掘り下げて考えてみましょう。
両親との関係が依存心に与える影響
先ほども触れましたが、甘えそのものは決して悪いものではありません。
むしろ、適切な甘えは心の安定をもたらし、私たちの精神的な健康を支えてくれる重要な要素です。
だからこそ「幼少期に十分に甘えられていない」という経験は、大きな問題を引き起こします。
- 親に甘える機会が限られている
- そもそも甘えが許されない
厳しい親や無関心な親のもとで育つと、子どもは
という不安を感じます。
そして、その「見捨てられ不安」を不安を埋めるために、親以外の人に過度に頼るようになります。
また、親が過保護すぎる場合も同じく問題です。
過保護な親のもとで育った子どもは、自分で決定する力や責任感が十分に育ちません。
その結果、他者に依存する傾向が強くなるのです。
何でも親が解決してくれる環境にいると、自分で考え、決断し、行動する力が弱くなってしまいます。
このように、幼少期に甘えられなかった経験は、大人になっても長く影響を与え続けるのです。
一人に甘えすぎる「依存」はなぜ問題なのか?
一人の人間に依存してしまうことの問題は、
周囲の人との関係がおろそかになり、結果として依存者以外の人間関係を大切にできなくなる
ことだと私は考えています。
また、依存される側にとっては
- 相手の問題
- 相手の責任
を背負うことが増え、次第に大きな負担を感じるようになります。
依存する側にとっては当然のサポートであっても、依存される側には次第にストレスやプレッシャーが積み重なってしまいます。
そして、積み重なったストレスやプレッシャーは、最終的にその関係自体を破綻させます。
依存する側の強すぎる不安感
依存する側は、相手からのサポートがなくなったり、相手に拒まれたりすると強い不安や孤独感に陥ります。
この状態に陥ると
- 自己否定感
- 無力感
が高まり、メンタルを崩してしまうのです。
依存する側の問題として、ここで私が特に問題だと感じているのは
誰かに依存することで、自ら問題を解決する力や自立心を育てる機会を失ってしまう
ということです。
誰かの助けがなければ、生活や感情が安定しないという状態は極めて危険な状態です。
つまり、依存心が強い人がこの問題を解決するためには
相互に支え合う「健全な依存関係」を築き、自らの自立心を育てることが重要
なのです。
では次に、どうすればこの依存から抜け出し、より自立した生き方を身につけられるのかを考えてみましょう。
自立を促す依存の形:相互依存(インターディペンデンス)を学ぶ
「相互依存(インターディペンデンス)」という言葉は、少し聞き慣れないかもしれません。
ですが、これは自立を目指す方にとっては、とても重要な概念だと私は考えています。
特にアダルトチルドレンの方に知っていただきたい考え方です。
「相互依存」を一言でまとめると
他者に頼りつつも自分自身の責任や役割を果たし、お互いを補完し合う関係のこと
になります。
なぜ相互依存が重要なのか?
一言で言えば、相互依存は「自己肯定感」を大きく高める力があるからです。
私が思うに、一方的に依存してしまうのも問題ですが、反対に他人を遠ざけて自分ですべてを抱え込んでしまうことも同じくらい大きな問題です。
このような生き方をしていると、孤立しやすく、人間関係も限定されます。
相互依存の力を育むということは、結果的に自立心も育むということ。
自立心が高まれば自然と自己肯定感も高まります。
そして、相互依存を築くためには、特定の一人にすべてを頼るのではなく
「複数の信頼できる依存先」
を持つことが大切だと私は考えています。
信頼できる人々が複数いることで、各自に適度な距離感を保ちながら、健全な支え合いの関係を築くことができます。
このように、健全な相互依存を持って初めて、自立心と安心感はバランスよく成長していきます。
親や他人への過剰な依存から相互依存へシフトする方法
とはいえ、他者に強く依存していた方がいきなり相互依存へとシフトするのは簡単ではありません。
依存パターンは長年をかけて形成されたものなので、変化にも少しずつ段階を踏んで変えていく必要があります。
変化のためにはまず、自分の問題にしっかり向き合うことが重要です。
特に日常生活の中で、親や友人に頼っていた場面で、自分で解決できることがないかを試す心構えはとても大切です。
「そんなこと?」と思うかもしれませんが、小さなことでも全てを「自分事」として受け止め、行動することが大切なのです。
また、相互依存の重要なポイントは
他者に頼るだけではなく、自分も相手に対してサポートを提供すること
です。
相手が困っている時、自分の問題を後回しにしてでもサポートする姿勢を持つからこそ、対等で健全な相互依存の関係は築かれていきます。
つまり、
与えることと受け取ることのバランスを意識する
ことで、自然と相互依存は強化されていきます。
人は互いに支え合うことで、結果的に自分自身の成長と自立を促進できるものだと、私は強く信じています。
この記事のまとめ
- 過剰な依存は人間関係を崩壊させるリスクがあるが、相互依存を意識することでそのリスクを回避できる。
- 自分で解決する力を養い、他者に頼るだけでなく、支えることが自己肯定感を育む上で大切になる。
- 相互依存を学ぶことで、自立と成長が同時に促進される。
相互に支え合う関係を築くことができれば、依存心をコントロールしながら、自立の力を高めることができます。
無理に一人で全てを抱え込まず、バランスを取りながら人と共に成長する力を身につけていきましょう。
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