回避依存症の恋人が嘘をついている気がします。なぜ彼は嘘を付くのでしょうか?また彼の嘘を見分ける方法はありますか?
この記事ではこんな疑問を解決します。
しん | 心理カウンセラー
心理カウンセラー。過去のカウンセリング実績500件以上。毒親育ち。自身の恋愛依存症・回避依存症の経験を活かし、「読者の悩みの根本的な解決」を目指し発信しています。
- 『回避依存症=全員嘘つき』ではない
- 嘘を悪いと感じない回避依存症者の「自己中心性」
- 回避依存症の人の嘘を簡単に見破る方法
こんにちは、心理カウンセラーのしん(@psynote__)です。
先日、こんなツイートをしました。
先日、どこかの恋愛コラムを読んでいたところ
「回避依存症の人はみんなプレイボーイ!」
「モテるためや浮気のために嘘を繰り返します」
と書かれていたのを見かけました。
断言します。
回避依存症の人がみな、プレイボーイで嘘つきということはありません。
ではなぜ、回避依存症の人が嘘つきと書かれてしまうのか?
今回は「回避依存症の恋人が嘘をつく理由とその心理」について詳しく解説していきます。
回避依存症の人はみんな嘘をつくの?
くり返しになりますが、回避依存症の人がみんな嘘つきな訳ではありません。
回避依存症の中で恋人に対し嘘をつくのは主に
- ナルシストタイプ
- 独裁者タイプ
になります。
この2つのタイプが恋人に嘘を付く理由として一般的に言われているのは
- 人からよく見られたい(ナルシスト)
- 相手を自分の都合のいいようにコントロールしたい(独裁者)
こうしたものでしょうか。
しかし、これはあくまで表面的な理由です。
ここから更に一歩踏み込んで「なぜ嘘をついてまでこうした行動を取るのか?」を考えてみると、回避依存症の恋人に対する理解がより深まると思います。
回避依存症の人が恋人に嘘を付く心理
「人からよく見られたい」
「相手を都合のいいようにコントロールしたい」
こうした理由を「表面的な理由」と私が呼ぶのは、この言葉の裏にはある心理が隠されているからです。
それは
「回避依存症の人は、弱い自分と真正面から向きあうことが出来ない」
ということです。
自己肯定感の低さが嘘につながっていく
回避依存症の人が嘘をつくのは、自分で自分のことを認められない『自己肯定感の低さ』が根底にあります。
普通の家庭で育った人であれば
素の自分を見せても私は周囲の人に嫌われない
ということを経験、そして本能的に知っています。
なので、必要以上に自分を大きく見せようとしたり、相手を支配してやろう、などとは決して考えません。
しかし、回避依存症の人はそうした考えができません。
「能力が低いと思われたら幻滅されてしまうかも・・・」
「スキを見せたら相手に支配されてしまうかも・・・」
など、素の自分に対するコンプレックスが強いために、そんな弱い自分を見せまいと必死に嘘をつくようになります。
回避依存症の人は嘘をつくことを悪いと思っていない
恋人や知人に嘘をつく回避依存症の人たちに共通しているのは
「嘘を付くことを悪いことだと感じていない」
ということです。
普通の人であれば人に嘘をつくことに対して
- 嘘をついたら相手に悪いのではないか?
- 嘘がバレたら傷ついたり悲しんだりするのでは?
- 嘘をついてもすぐに見破られてしまうのでは?
こうした何かしらの「罪悪感」を感じるのが普通です。
しかし、回避依存症の人が嘘をついても悪いと思わない、罪悪感を感じないには理由があります。
それは回避依存症の人にとって嘘をつくことは
一つの生存戦略、自分を守ること
そのものだからです。
もう少し分かりやすく説明すると
- 自分で自分のことを認められない
- 弱さを人にさらけ出せない
- 他人に自信のなさを見破られたくない
「嘘」はこうした問題から一時的に逃げるための「回避行動の一つ」ということです。
嘘を自分を守るための一時的な回避行動として使うので、回避依存症の人がつく嘘は
- 前に聞いていた内容と話が違う
- 事実をねじまげて、自分の都合のいい様に脚色する
- 聞いていた話(嘘)と、現実のギャップが大きい
こうした特徴が出やすい傾向にあります。
なので、なにかのきっかけで嘘があっという間にバレてしまうことも珍しくないのですが、先ほどお話ししたとおり、回避依存症の人にとって嘘は”生存戦略”です。
嘘をついていたことをそのまま認めることは、自分の弱さを認めることと同じなので、嘘がバレたとしても、基本的には開き直るか、逆ギレします。
他に嘘をついてしまう理由としては、回避依存症の人は共感性が薄いということもあると思います。
回避依存症の人がつきがちな「嘘」の具体例
ここでは私がカウンセリングで実際にお聞きした、回避依存症の恋人の「嘘」の例をいくつか紹介したいと思います。
具体例①
具体例1
「自分はいつも恋人に裏切られてばっかりだった」
恐らく回避依存症の人がつく嘘の中では、ダントツに多い嘘だと思います。
特に付き合い始めの頃、急速に仲を深めている間にこの嘘をつく人が本当に多いのです。
実際には自分の行動が問題で恋人に愛想をつかされているのですが、”自分に問題があった”と認めることは自分の弱さを認めることになるので、相手に責任をおしつけつつ、恋人の同情を誘う嘘です。
自分だけはこの人を見捨てないであげよう、という気持ちになりますよね。
具体例②
具体例2
「僕は人と関わると疲れてしまう、誰もそばにおきたくない」
これもまた、回避依存症の人のテンプレ発言の一つです。
「疲れてしまう」までは本当ですが、心の底では自分を認めてくれる人を常に求めています。
ただし、自分に干渉しすぎる人は嫌になってしまうことも経験として分かっています。
「誰もそばにおきたくない」と伝えることで、自分は本気にならないことを暗に伝え、都合の良い関係を築こうとします。
具体例③
「自分は会社では重要なポストにいて、周りからの人望も厚い」
これは恋人からの称賛が欲しいがためについていた嘘になります。
この女性は長い間
「彼の言っていることは本当で、彼はすごい人なんだ!」
と信じていたそうなのですが、あることがきっかけで彼の話の大部分が嘘だということを知ってしまいました。
実際にはなんの実績もなく、周囲の人からも仕事ができない人だと煙たがられていたそうです。
この様に、素の自分を認めることができないことで、大きな嘘をついてしまう人は珍しくありません。
回避依存症の人がつく「嘘」と「本当」を見分けるには?
厄介なことに、回避依存症の人の嘘を信じれば信じてしまうほど、相手は更に嘘をかさねる様になります。
嘘をつけば傷つかないし、自分が認められる・・・
と学んでしまうからですね。
ただし、記事冒頭でもお話したとおり、回避依存症の人の嘘は
- 自分を格好良く見せたい
- 尊敬されたい
- 相手を自分の都合のいいようにコントロールしたい
こうした理由によるものが多いのです。そのため嘘の内容も自然と似たりよったりになります。
つまり、回避依存症の人の嘘を見破るには
- 細部は違えど、前も似たような話をしていなかったか
- あまりにも話しが出来すぎていないか
- 話の内容と現状が大きく違っていないか
などを気にしてみると、ある程度、嘘のパターンが見えてくるようになります。
ただし、ここで一点注意して欲しいのは
相手が嘘をついていると確信したとしても、それを責めるようなことはしない方がいい
ということです。
繰り返しになりますが、回避依存症の人にとって嘘は辛い現実から逃げるための「生存戦略」の一つです。
嘘を指摘して恋人の生存戦略を脅かすようなことをすれば、音信不通、モラハラといった回避行動が強まり、あなたとの関係を悪化させてしまいます。
仮に嘘に気づいたとしても、「この人は今、自分の弱さを隠そうとしてるんだな」とあえてなにも言わないであげることが大切です。
この記事のまとめ
- 回避依存症の人が嘘をつくのは自己防衛のため。人に弱さを見せられないために嘘をつく。
- 回避依存症の嘘は似た話になりやすい。内容が誇張されていないかや、話の内容をしっかり聞くことで嘘かどうかを判断することが可能。
- 嘘をついているのが分かっても指摘はしないこと。指摘をすれば間違いなく関係は悪化する。
今回は回避依存症と嘘の関係について解説しました。
嘘を見分けようと恋人のことを疑い続けるのはなかなかしんどいと思います。
あまり短期間で見分けようとせず、まずは長い時間をかけて「あれ、なんか話違わないかな?」と気付けるようになるくらいが丁度いいでしょう。
回避依存症の恋人に対しては、好きだからといって相手のことを全て信じるのではなく、「本音」と「嘘」を見分けられるようになると付き合いが楽になりますよ。
今回は以上となります。
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