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母親に甘えられなかった男性が恋愛で繰り返してしまうこと

母親に甘えられなかった男性が恋愛で繰り返してしまうこと

心理カウンセラーのしん( @psynote__ )です。

メールカウンセリングで恋愛の相談を受けていると、女性の方からこんな相談が届くことがあります。

「彼は優しいのに本音を言ってくれません」
「もう少し頼ってほしいのに何でも一人でやろうとします」

この記事では、母親に甘えられなかった経験が男性の恋愛にどう影響するのか、彼の中で何が起きているのかをお伝えします。

母親に甘えられなかった男性が恋愛で素直になれない理由

「好き」が言えないのではなく言ったあとが怖い

母親に甘えられなかった男性が恋愛で素直になれないもっとも大きな理由は「言ったあとに傷つくくらいなら最初から言わないほうが安全だ」という判断が考えるより先に動いてしまうことにあります。

気持ちを伝えたあと相手がどんな顔をするかわからない。困ったように笑われるかもしれない。

「そんなこと言うんだ」と意外そうにされるかもしれない。その可能性が頭をよぎっただけで口を閉じてしまうのです。

この判断には原点があります。

小さな頃、母親に「今日こんなことがあった」と話しかけようとして母親の表情を見た瞬間に「今はやめておこう」と引っ込めた。あるいは話しかけても「忙しいから後にして」と返されて「後」は来なかった。

子どもにとって母親は最初の「気持ちを受け取ってくれるはずの人」です。

その人に受け取ってもらえなかった経験があると「気持ちを出しても無駄だ」ではなく「気持ちを出したら傷つく」と刻まれる。

彼が気持ちを言わないのは、あなたを信用していないのではありません。

気持ちを出す→受け取ってもらえない→傷つく」という回路が母親との間で作られていて、それが恋愛でもそのまま発動している。

「頼る」と「迷惑をかける」が同じ意味になっている

母親に甘えられなかった男性には「頼る」と「迷惑をかける」が同じ意味になっていることがあります。

「自分の要求を出すと相手に迷惑がかかる」、この前提が彼の中にあるかぎり「頼ってほしい」と言われてもその言葉をそのまま受け取ることができません。

先程と同様に、この前提にも母親との関係が影響しています。

母親が忙しそうにしているときに「遊んでほしい」と言えなかった。言ったら嫌な顔をされた。あるいは言っても叶えてもらえず「わがまま言わないの」と返された。

こうした経験が繰り返されると、子どもの中に「自分の要求は相手にとって負担をかけるもの」という前提ができあがります。

大人になっても「本当に頼っていいのか」「実際に頼ったら迷惑じゃないか」ともう一段疑いが入る。これは彼があなたを信用していないのではなく「人に頼る」という行為そのものへの恐怖からです。

「甘えたい」を封じた男性が恋愛で抱える矛盾

ここから先は男性特有の感覚が色濃く出る部分についてお話します。

男性には「甘えたい」という気持ちを持つこと自体に独特の抵抗があります。

「男なのに甘えたいなんて情けない」
「こんなことを思っている自分が気持ち悪い」

母親に甘えられなかった痛みに加えて「そもそも甘えたいと思うこと自体が恥ずかしい」という蓋が被さっている。

彼が黙るのは怒りではなく「見下される」ことへの恐怖

母親に甘えられなかった男性が恋愛で黙り込むときその裏にあるのは怒りではないことが多い。

「寂しかった」「不安だった」。そう感じていたとしてもそれを口にすることが「男としての自分を損なうこと」に感じられてしまう。つまり、男として「見下される」のが怖い。

こうした心理にも母親との関係が強く影響しています。

小さな頃に泣いたとき「男の子でしょ」と言われた。怖いと言ったら「そんなことで怖がらないの」と返された。

弱さを見せたときに受け止めてもらえず否定された経験があると「弱さ=恥」という回路ができあがる。

母親に否定された記憶と「男のくせに」という社会的な刷り込みが重なり、恋人にも心を閉ざしています。

「甘えて」と言われても何をすればいいかわからない

「もっと甘えてよ」と彼に伝えたことがある方もいるかもしれません。けれど彼は固まってしまう。

「甘える」が具体的にどういう動作なのか本当にわからないからです。

甘えて受け止めてもらえた経験がある人はそのときの空気を体が覚えています。母親の膝に頭を乗せたときの安心感。「大丈夫だよ」と言われたときの体の力が抜ける感覚。

その記憶があるからこそ、人は大人になっても恋人の前では自然に甘えられる。

けれどその記憶がない人には「甘える」の完成形がイメージできません。参考にできる記憶がない。だから「甘えていいよ」と言われても何をすればいいかわからない。

甘えられないから「尽くす側」に回って関係を保とうとする

甘えられない。弱さも見せられない。けれど恋人との関係は保ちたい。

そのとき多くの男性が向かう場所があります。それは「与える側」に回ることです。

記念日は忘れない。欲しがっているものを先回りして用意する。困っていることがあれば真っ先に動く。

母親に甘えられなかった男性は「そのままの自分では愛されない」という前提を持っている人が多いです。母親に気持ちを受け取ってもらえなかった経験が「自分には無条件に愛される価値がない」という感覚に繋がってしまっている。

だから恋人に対して「役に立つ自分」「必要とされる自分」でいなければ関係を維持できないと感じる。

「彼は優しいけれど本当の自分を見せてくれない」
「尽くされているのにどこか距離を感じる」

もしあなたがそう感じたことがあるなら、「与えること」が彼にとって自分を守る方法になっていた可能性があります。

恋人の前で「母親と同じこと」が起きている

ここまで読んで一つの共通点に気づいた方もいるかもしれません。

彼が恋愛で繰り返しているのは、母親との間で学んだことの再生です。

  • 気持ちを出したら受け取ってもらえなかった → 恋人にも気持ちを出せない
  • 頼んだら迷惑がられた → 恋人にも頼れない
  • 弱さを見せたら否定された → 恋人の前でも弱さを隠す
  • そのままでは愛されなかった → 恋人の前でも「役に立つ自分」でいようとする

彼はあなたとの関係の中で母親との関係をやり直そうとしているわけではありません。ただ母親との間で覚えた「人との関わり方」がそれしかないから、恋愛でも同じやり方をしてしまう。

ただし、原因が親にあると知っただけでは恋愛は変わりません。「親のせい」で止まるのではなく「今、彼の中で何が動いているのか」に目を向けることで初めて関係の見え方が変わってきます。

あなたの行動が「母親と同じ反応」に見えてしまう瞬間がある

もう一つ知っておいてほしいことがあります。

あなたが何気なくした行動が、彼にとっては母親と同じ反応に見えてしまうことがあります。

LINEの返信が遅れただけ、疲れていて話を聞く余裕がなかっただけ。

あなたにとっては些細なことでも「母親に話しかけても返事がもらえなかった」「忙しいから後にして」と言われたときの記憶と重なることがある。

彼が急に不機嫌になったり黙り込んだりするとき、直前にあなたがしたことと、彼の反応が釣り合わないと感じることはないでしょうか。

もしそうなら彼はあなたに怒っているのではなく母親との記憶が刺激されている可能性があります。

これを知っているかどうかで「なぜ彼はこんな些細なことで不機嫌になるのか」の見え方が大きく変わってくるはずです。

彼の怒りが「大人の怒り」とは違う理由を読むと、その見え方はさらに変わるはずです。

彼の行動の裏側が見えたあとに変わること

ここまで読んで彼の行動の裏側が少し見えてきたかもしれません。

ただ一つ知っておいてほしいのは、彼がここに書いたことに気づいたとしても、すぐに彼の性格や行動が変わるわけではないということです。

ある程度の年齢や人生経験を重ねてから、「母親に甘えたかった」と認めることは男性にとって簡単ではありません。

けれど一つだけ変わることがあります。

彼が素直になれなかったとき、頼ってくれなかったとき、必要以上に尽くそうとしているとき。あなたが、「今、彼の中で母親とのあの記憶が動いているのかもしれない」と思えるだけで、関係は少しづつ良い方向へ変えることができます。

彼の行動パターンをもっと深く知りたいなら

この記事で書いた

  • 素直になれない
  • 頼れない
  • 尽くすことでしか関係を保てない

こうした行動は恐れ・回避型といった愛着の問題や、回避依存症と呼ばれる恋愛のパターンと重なる部分があります。

彼がどのタイプに当てはまるのか、そのタイプがどんなかたちで関係を壊していくのかを知ることで、今の関係で何が起きているかがもう一段深く見えてきます。

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