心理ノート

恐れ回避型の友達付き合いが「一人のほうが楽」に行きつく理由

心理カウンセラーのしん(@psynote__)です。

友達がいないわけじゃない。職場でも学校でもそれなりに人付き合いはできている。

でもあなたは誰にも「本当の自分」を見せられなくて苦しんでいるのだと思います。

今あなたが抱えている苦しみを、恐れ・回避型の当事者だった心理カウンセラーが解説します。

周りからは「普通の人」に見えている

友達付き合いは一通りできる。だから誰にも気づかれない

恐れ回避型の人は表面的な付き合いはこなせます。

話を合わせることも場の空気を読むこともできる。むしろ周囲への気配りは人一倍得意かもしれません。

だから職場や学校では「普通の人」として見られている。少なくとも「人付き合いに問題がある人」とは思われていません。

でもそれは「うまくやれている」のではなく、「うまくやっているように見せている」だけです。

本人の中では常にある種の演技のような感覚がつきまとっています。笑っているけど笑えていない。相手の話は親身に聞くけど、自分のことは何も話さない。

だからあなたが「友達付き合いに悩んでいる」と言っても周囲の人にはピンとこないでしょう。

「普通だよ」
「みんなそんなもんじゃない?」

で片づけられてしまう。

「普通にやれている自分」と「本当の自分」のあいだにある溝

周囲に見せている自分と心の内側に隠しているいる自分。

この二つの距離を恐れ回避型の人は常に感じています。

周りが見ているのは、当たり障りなく笑って場に合わせている自分。でも内側にはもっと違う感情がある。不安だったり、疲れていたり、本当はその場にいたくなかったり。

ただ、その内側を見せるわけにはいきません。

「本当の自分を見せたら馬鹿にされるかも」
「私が自分を出したら変な空気になるかも」

この不安が常に表の自分と本当の自分を切り離しています。

そして、表面の自分で場がうまく回るたびに「結局、素の自分では通用しないんだ」という感覚が静かに強まる。うまくやればやるほど、素の自分を出すことに躊躇するようになります。

友達付き合いが「楽しい」ではなく「疲れる」に変わっていくのは、ここに原因があります。

友達関係だから気づきにくいこと

恋愛ではコントロールできない自分が出る。友達関係は出る前に終わらせる

恐れ回避型を自覚するのはたいてい恋愛からです。これは、感情の距離が近すぎてコントロールが効かなくなるから。

好きな相手に近づきたい。でも近づくと不安が強くなる。離れたくなる。でも離れたら失うかもしれない。

この繰り返しの中で自分でもどうにもならない部分が出てしまう。近づいたり離れたりを繰り返して、結果的に相手を振り回してしまうのです。

恋愛にて人間関係で初めて壊して「自分はどこかおかしいのかもしれない」と気づく人も多いですね。

一方、友達関係ではそこまでいきません。

これは感情が暴走する手前で距離を取れてしまうから。

「最近ちょっと忙しくて」
「あんまり元気がなくて」

これでで済みます。相手も深追いしません。だから問題にならないし自分でも自覚しにくい。

恐れ回避型の特徴についてはこちらの記事で解説しています。

「いつの間にか疎遠になった」のではなく自分から関係を切る

恐れ回避型の友人関係は「自然消滅」ではないことが多いです。

LINEグループを抜ける。SNSのフォローを外す。連絡先ごと消す。引っ越しや転職を機にそれまでの人間関係を丸ごとリセットする。

いわゆる「人間関係リセット症候群」と呼ばれる行動に近いものですね。

そしてこれが一度ではない。学校が変わるたび、職場が変わるたび、大きく環境が変わるたびに、同じことを繰り返してしまう人が多い。

本当は「少しずつ距離を調整する」のが理想です。

でもそれは、相手に正直な気持ちを少しずつ伝えていくということにもなりかねない。恐れ回避型の人にとって、それは最も難しいことの一つです。

だから「このまま我慢するか、全部やめるか」の二択になってしまう。ただ、限界が来たとき取れる選択肢は一つしかありません。

自分を傷つける相手との関係を切れない

「嫌だ」が言えないまま関係を続けてしまう

恐れ回避型の人が友達関係で苦しくなっていくのは、人間関係を「増やせない」からだけではありません。

「減らせない」ことのほうが問題になっていることがあります。

否定してくる相手。何かにつけてマウントを取ってくる相手。一緒にいると疲れるのになぜか関係が続いている相手。

本当は距離を取りたい。でも「嫌だ」と言えない。

人に対して「嫌だ」を伝えるためには、「この人には本音を出しても大丈夫」と思えていなければなりません。

恐れ回避型の人にはこの信頼がありません。

本音を見せれば関係が壊れるかもしれない。嫌われるかもしれない。相手がどう出るか分からないことに耐えられない。

だから合わせ続ける。笑って流す。自分のほうが折れる。

結果、自分だけが苦しくなる関係が残り続けることになります。

我慢を続けた先に起きること

ですが、この苦しさには限界があります。

我慢を重ねて「もう無理だ」となったとき、恐れ回避型の人は段階的に距離を取るのではなく、一気に全部を切ります。

連絡先を消す。SNSをブロックする。説明もなく関係を断つ。前のセクションで触れた「人間関係リセット」は、実はここにつながっています。

外から見ると突然の行動に見えるかもしれないけど、本人の中では長い時間をかけて我慢が積み重なっている。限界に達したとき、もう段階を踏む余裕がないのです。

だから結果として「一気に全部切る」という形になる。

ですが、リセットしたからといって、気持ちが楽になるわけではありません。

本当の自分を出せない → 我慢する → 限界で全部切る → 自責 → さらに本当の自分を出せなくなる

一つ一つの判断は間違っていないかもしれません。ただ、一つの流れとしてみると、環境が変わっているだけで何度も同じ関係に戻っているのです。

一人でいるほうが楽になっていく

人との関わり自体を減らしていく

切れない関係に疲れた。表面の自分を演じ続けることに限界が来た。リセットを繰り返すのも無理。

その経験が積み重なると「もう私は一人でいい」と感じるようになります。

これは積極的にそう選んだのではなく、これ以上自分を傷つけないための消極的な撤退です。

人といれば疲れる。表面の自分を維持しなければならない。それなら最初から関わらないほうが楽。こうして少しずつ人との関わりそのものを減らしていきます。

誘いを断る回数が増える。自分からは連絡しなくなる。休日に予定を入れないことが当たり前になる。

気づけば「友達」と呼べる人がほとんどいなくなっている。

でも不思議と困ってはいません。一人のほうが楽だから。

「一人が楽」の裏にあるもの

恐れ回避型の人にとって一人が楽なのは事実です。

でもそれは「一人が好き」とは少し違います。「人といると疲れる」の裏返しとして、一人を選んでいるだけです。

あなたもふとした瞬間に寂しさを感じることがあると思います。

SNSで誰かの楽しそうな投稿を見たとき。体調を崩して誰にも連絡できなかったとき。「自分には誰もいない」と思うことがある。でもそこから「じゃあ誰かとつながろう」とはならない。

つながった先にまた同じことが起きると分かっているから。

でもこれだけは伝えさせて下さい。

本当の自分を見せない限り「関係は壊れない」という実感も得られない

本当の自分を見せるのは怖い。見せたら壊れるかもしれないと思えば、一人を選ぶほうが楽なのは当然です。

でもその怖さを避けて一人でい続けると

「本当の自分を見せても大丈夫だった」
「受け入れてもらえた」

という経験を得る機会がなくなります。思い込みが変わるきっかけがないままずっとそのまま残り続けてしまう。

だから新しい環境に移っても、新しい人と出会っても、また同じことが起きます。表面の自分で付き合い始めて、少しずつ苦しくなって、距離を取って、一人に戻る。

冒頭でも触れたとおり、私自身もかつて恐れ回避型として同じループの中にいました。でしが、私が愛着障害を克服するきっかけになったのは、「自分の本音、弱い部分を見せても大丈夫だった」という経験です。

正直、今でも人付き合いはあまり好きではありません。ただ、その経験があったからこそ、今こうしてこのような記事を書くことができています。

恐れ回避型の生きづらさには理由がある

「本当の自分を見せたら壊れる」

この思い込みが友達付き合いを疲れるものに変え、苦しい関係を切れなくし、最終的に一人を選ばせていきます。

でもこれは友達関係の中だけで動いているわけではありません。恋愛でも、職場でも、家族との関係でも同じことが起きています。

友達関係だけでなく、あなたの生きづらさ全体に目を向けた記事を書いています。

恐れ回避型の「生きづらい」には理由がある。人が怖い、でもひとりも怖いあなたへ

しん | 心理カウンセラー

愛着スタイル(回避型・不安型・恐れ回避型)の恋愛問題を専門にカウンセリングしています。累計1000件以上の相談実績あり。恋愛パターンの背景にある親子関係や愛着の問題にも対応しています。「わかった」で終わらせず、次に何をすればいいかまで一緒に考えるカウンセリングをしています。

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